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終活・相続

親の家が空き家になったら|維持費・固定資産税と管理不全空家

2026年10月11日

「親が施設に入って、実家が空き家になった。売るか残すか、まだ決められない」
「空き家にしておくと税金が6倍になると聞いた。本当だろうか」

この2つは、分けて考えると整理しやすくなります。

先に、いちばん誤解の多いところを申し上げます。空き家にしただけで固定資産税が上がるわけではありません。 上がるのは、市区町村から勧告を受けた場合です。放っておいて勧告まで至ると、住宅用地の特例が外れて税負担が重くなります。

この記事では、空き家の費用を「税」「保険」「管理」の3つに分けて、1年分の金額を自分で出せるところまで整理します。この記事は、町田・相模原のように行こうと思えば行ける距離の実家を想定しています。

細井誠

✍️ この記事を書いた人

FPマイスターホーム代表 細井 誠(宅地建物取引士・AFP)

相模原に暮らして40年以上、町田で不動産の仕事をして20年以上。これまで1,000件以上のご相談をお受けしてきました。「買える家」ではなく、「無理なく、幸せに暮らせる家」をご提案します。趣味はトライアスロン。お客様が納得されるまで、最後までお付き合いします。プロフィール

目次

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この記事でわかること

結論:空き家の費用は「固定資産税」「保険」「管理」の3つで決まる

まず全体像です。

空き家に毎年かかるもの

費目 中身 上がる・変わる条件
固定資産税・都市計画税 土地と建物に毎年 勧告を受けると住宅用地の特例が外れる
火災保険 建物にかける 空き家は契約の条件が変わることがある
管理費用 草刈り・見回り・通風通水 自分でやるか、頼むかで変わる
電気・水道 管理のために残す場合の基本料金 止めると通水ができなくなる

「6倍になる」の正体

住宅が建っている土地は、固定資産税の課税標準が軽くなる特例を受けています。総務省の解説によれば、200㎡以下の部分は価格の6分の1、200㎡を超える部分は3分の1です(地方税法の住宅用地の特例)。

この特例が外れると、課税標準が元に戻ります。「6倍」と言われるのは、ここから来ています。

ただし、自動的に外れるわけではありません

特例が外れるのは、市区町村から勧告を受けたときです。空き家になった瞬間に外れるものではありません。次の章で詳しく書きます。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

「空き家にすると税金が6倍」と言われることがありますが、順序が違います。放っておいて、指導を受けても直さず、勧告まで至った場合です。指導や勧告は、管理の状態を見て段階を踏んで行われます。

空き家の固定資産税と住宅用地の特例|受けられる場合と外れる場合

もう少し詳しく見ます。

特例の中身

住宅用地の特例(地方税法。総務省の解説による)

区分 面積 固定資産税の課税標準 都市計画税の課税標準
小規模住宅用地 200㎡以下の部分 価格の 6分の1 価格の 3分の1
一般住宅用地 200㎡を超える部分 価格の 3分の1 価格の 3分の2

たとえば300㎡の一戸建ての敷地なら、200㎡分が小規模住宅用地、残りの100㎡分が一般住宅用地として扱われます。

外れる場合

国土交通省の資料によれば、管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると、その敷地は住宅用地の特例の対象から除外されるとされています(地方税法の規定による)。

解体して更地にしたら、固定資産税はどうなるか

「建物を壊せば管理も要らなくなる」と考える方もいらっしゃいます。ただ、税の扱いが変わります。

  • 家屋にかかる固定資産税は、なくなります
  • 土地は、住宅用地の特例の前提(住宅が建っている土地)が崩れます

家屋分の税は消える一方で、土地の負担は増えます。どちらが大きいかは、建物の評価額と土地の面積・評価額で変わります。解体費用も別にかかります。

解体するかどうかは、今年の納税通知書を手元に置いて、市区町村の資産税課で確かめてから決めてください。

もう一つ、見落とされやすい点

国土交通省の資料では、今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる家屋の敷地には、そもそも住宅用地の特例が適用されないとされています。

つまり、家が建っていれば必ず特例が受けられる、というわけではありません。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

実際の課税がどうなっているかは、毎年届く納税通知書で確かめられます。土地の課税標準額が、評価額のどのくらいになっているかを見てください。分からなければ、市区町村の資産税課が窓口です。

管理不全空家・特定空家に指定されるとどうなるか

ここが、税負担の分かれ目です。

2023年の法改正で段階が増えました

国土交通省によれば、空家等対策の推進に関する特別措置法は令和5年(2023年)12月13日に改正法が施行され、特定空家等になる前の段階として管理不全空家等という区分ができました。

空き家の状態と、市区町村の対応(国土交通省の資料による)

段階 状態 市区町村の対応 住宅用地の特例
通常の空き家 管理されている なし 受けられる
管理不全空家等 放置すれば特定空家等になるおそれ 指導 → 勧告 勧告で除外
特定空家等 倒壊のおそれ、衛生上有害、景観を損なう等 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行 勧告で除外

流れは「いきなり」ではありません

国土交通省の指針によれば、管理不全空家等については、指導をしてもなお状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと認めるときに、修繕や立木竹の伐採などの措置を勧告できるとされています。

つまり、指導に応じた場合は、勧告に進まないのが制度の建て方です。

勧告の効力は、その後も続きます

国土交通省の資料では、勧告後に措置がとられず特定空家等になった場合でも、勧告が撤回されていない限り、住宅用地の特例から除外された状態が継続するとされています。一度外れると、直すまで戻りません。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

市区町村からの通知が来たら、無視しないでください。指導の段階では、草を刈る、木を切る、といった対応が求められます。放置が続いた結果として勧告に至るという順番です。

空き家の火災保険|住んでいる家とは契約の条件が変わる

見落とされやすい費目です。

なぜ変わるのか

人が住んでいない建物は、火災や水漏れの発見が遅れます。また、放火や不法侵入のおそれも高くなります。そのため、空き家は住宅用の火災保険をそのまま継続できない場合があります。

確かめること

  • 今の契約が、空き家になった後も有効か
  • 空き家であることを保険会社に伝えているか
  • 保険料や補償の範囲が変わるか

伝えないまま放置すると、いざというときに困ります

住んでいることを前提にした契約のまま空き家にしていると、万一のときに保険金が支払われない場合があります。空き家になった時点で、保険会社か代理店に連絡してください。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

保険料や引き受けの条件は、空き家になると変わることがあります。ただし、無保険のまま置いておくことのほうが、負担が大きくなります。火災で近隣に損害が出た場合の責任は、所有者に及びます。

空き家の維持費を年間でいくらか書き出してみる

ここが、この記事でいちばんやっていただきたいことです。

1年分の費用を書き出す表(ご自身の数字を入れてください)

| 費目 | 年間の金額 |

|—|—|

| 固定資産税・都市計画税 |     円(納税通知書を見る) |

| 火災保険 |     円(保険会社に確認) |

| 電気の基本料金 |     円 |

| 水道の基本料金 |     円 |

| 草刈り・庭木の手入れ |     円(年◯回 × 1回あたり) |

| 見回りの交通費・時間 |     円 |

| 合計 |     円 |

なぜ書き出すのか

「空き家を持ち続けるか、売るか」は、年間いくらかかるかが分からないと決められないからです。金額が出ると、判断が具体的になります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

固定資産税は納税通知書、保険は保険証券、電気・水道は検針票。すべて家にある紙で分かります。手元に、納税通知書・保険証券・検針票があれば書き出せます。 これを出してから考えると、迷う時間が短くなります。

最低限の空き家の管理|何を、どのくらいの頻度で

費用を抑えるには、自分でできることを知っておくことです。

やること

空き家で最低限やりたいこと

やること なぜ必要か 目安
通風(窓を開ける) 湿気で建材が傷む・カビが出る 1〜2か月に1回
通水(蛇口を開ける) 排水管の封水が乾くと臭気・虫が入る 通風と同じタイミングで
郵便物の回収 たまると留守が分かり、防犯上よくない 行くたびに
草木の手入れ 隣地へのはみ出し、苦情の原因 春〜秋に重点的に
屋根・外壁の目視 雨漏り・飛散物の早期発見 行くたびに外から
通電 換気扇や照明を使うため 止めるかは管理の仕方次第

電気・水道を止めるかどうか

止めれば基本料金は浮きますが、通水ができなくなり、換気扇も使えません。町田・相模原のように通える距離なら、通水・通風のために残しておく判断もあります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

草木は、思っているより早く伸びます。夏場に2か月行かないと、隣地にはみ出すことがあります。ご近所との関係は、一度こじれると戻りにくいものです。夏は月1回を目安にしてください。

FPの視点|空き家を持ち続ける費用と手放す費用を比較する

判断の材料を、数字でそろえます。

持ち続ける場合(1年あたり)

先ほど書き出した合計額です。これが毎年出ていきます。

手放す場合(1回だけ)

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 相続登記が済んでいなければ、その費用
  • 残置物の処分費用
  • 測量が必要な場合はその費用
  • 譲渡所得が出る場合の税金

「あと5年持つ」の値段を出してみる

年間の維持費が15万円なら、5年で75万円です。そこに、5年後に売るときの費用を足します。今売る場合と比べて、どちらが手元に残るか。

なお、5年後の価格がどうなるかを私が断定することはできません。あくまでご自身の判断材料としてお使いください。

売らない理由があるなら、それでよいのです

ご家族の思い出がある、いずれ誰かが住むかもしれない、きょうだいの合意がまだ取れていない。売らない理由はいろいろあります。

私は、すぐに売る・買うをお勧めしません。「今は動かない」も立派な選択肢です。 大事なのは、いくらかかるかを知ったうえで、そう決めることです。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

売ると決めた場合の手順は相続した実家を売る手順に、売る・住む・貸すの比較は相続した実家を売る・住む・貸すにまとめています。

向かない人・よくある失敗|空き家の放置のリスクと次に確かめること

この記事の範囲を超える方

こういう場合は、先に別の記事・専門家へ

  • 名義が亡くなった方のまま → 売る・貸すの前に相続登記が必要です

よくある失敗

  1. 市区町村からの通知を放置した → 指導の段階で対応すれば、次の段階に進まない建て方です
  2. 火災保険の連絡をしていなかった → いざというときに支払われないことがあります
  3. 水道を止めて放置した → 排水管から臭気や虫が入り、室内が傷みます
  4. 年間の費用を知らないまま何年も迷った → まず金額を出してください

急がなくて大丈夫です

焦って決める必要はありません。納得いくまで、何度でもお付き合いします。ただし、管理だけは止めないでください。 建物は、人が入らないと傷みが進みます。

次に確かめること

まず、今年の固定資産税の納税通知書を出してください。土地と建物それぞれの課税標準額と税額が書いてあります。ここが、1年分の費用の出発点です。

そのうえで、火災保険の証券を見て、空き家になったことを保険会社に伝えているかを確かめてください。この2つは、費用をかけずにできることです。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

納税通知書は毎年春に届きます。空き家の判断をするときに、いちばん役に立つ紙です。捨てずに取っておいてください。

よくある質問

Q. 電気や水道は止めてよいですか?

A. 止めれば基本料金は浮きますが、通水ができなくなります。排水管の封水(トラップにたまっている水)が乾くと、下水の臭気や虫が室内に入ります。換気扇や照明も使えません。通える距離の実家であれば、通水・通風のために残しておく判断もあります。長期間まったく行けない見込みであれば、止める判断もありますが、その場合は排水口に水を張るなどの対策をしてから止めてください。

Q. 近所から苦情が来たら、どうすればよいですか?

A. まず現地を見て、何が原因かを確かめてください。草木のはみ出し、落ち葉、臭い、動物の侵入などが多い原因です。対応できるものは早めに直してください。放置して市区町村から指導を受け、それでも改善しないと勧告に至り、住宅用地の特例から外れて税負担が重くなります。ご近所との関係も、早めに動くほど収まりやすくなります。

Q. 管理を業者に頼む場合、どのくらいかかりますか?

A. 内容と頻度で変わるため、この記事では具体的な金額は書きません。見回り・通風・通水・郵便物の回収といった基本的な内容のものから、草刈りや簡易な修繕まで含むものまで幅があります。複数社から見積もりを取り、ご自身で行く場合の交通費と時間と比べてください。

Q. いつまで空き家のまま持てますか?

A. 法律上の期限はありません。ただし、建物は人が住まないと傷みます。また、相続した家を売る場合に使える税の特例には期限があり、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までという要件があります。売る可能性があるなら、この期限は先に確かめてください。

Q. 売るなら、何から始めればよいですか?

A. まず名義を確かめてください。亡くなった方のままだと引き渡しができません。次に、年間の維持費を書き出して、売った場合と持ち続けた場合を金額で並べます。そのうえで査定を取ってください。町田・相模原の実家であれば、ご相談いただければ一緒に整理します。焦って決める必要はありません。

まとめ|まず納税通知書を出して、1年分の費用を書き出す

  1. 空き家にしただけで固定資産税が上がるわけではない。上がるのは市区町村から勧告を受けた場合
  2. 住宅用地の特例は、200㎡以下が価格の6分の1、200㎡超が3分の1(固定資産税。総務省の解説による)
  3. 令和5年12月13日施行の改正空家法で「管理不全空家等」ができた。指導 → 勧告の順で、勧告されると特例から除外される
  4. 勧告が撤回されない限り、除外された状態は続く
  5. 火災保険は空き家になると契約の条件が変わることがある。空き家になった時点で保険会社へ連絡する
  6. 通風・通水・郵便物・草木が最低限の管理。夏は月1回を目安に
  7. 年間の費用を書き出してから、持ち続けるか手放すかを決める

※この記事の制度・数値は、下記の出典を 2026年10月9日 に確認したものです。制度は改正されることがありますので、実際の手続きの前に最新の公表をご確認ください。

空き家の1年分の費用、一緒に出してみませんか

納税通知書と保険証券をお持ちいただければ、年間いくらかかっているかをその場で整理します。そのうえで、持ち続ける場合と売る場合を金額で並べます。「今は動かない」という結論になっても構いません。町田・相模原には40年以上暮らし、町田で不動産の仕事を20年以上してきました。地元の空き家の事情もお話しできます。焦って決める必要はありません。納得いくまで、何度でもお付き合いします。匿名でのご相談も承ります。

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