FPマイスターホーム|住宅ローン相談に強いファイナンシャルプランナーの不動産売買専門店 > 不動産コラム > 終活・相続 > 遠方の空き家の管理と費用|見回り・火災保険・固定資産税

地方の実家相続

遠方の空き家の管理と費用|見回り・火災保険・固定資産税

2026年10月11日

「実家は新幹線で片道4時間。年に何度も行けない」
「売るまでの間、あの家をどうしておけばいいのだろう」

首都圏にお住まいで、地方の実家を相続された方からのご相談は、近年少しずつ増えています。そして、売ると決めた後でも、売れるまでの期間をどう過ごすかという問題が残ります。

先に結論を申し上げます。遠方の空き家の管理は、「行く回数」と「頼む費用」のどちらを取るかで決まります。 どちらが正解ということはありません。ご自身の仕事や体調に合わせて、無理のない形を選ぶのが続きます。

この記事では、放っておくと何が起きるかを先にお伝えし、そのうえで最低限やること、自分で行く場合と頼む場合の比べ方を整理します。

細井誠

✍️ この記事を書いた人

FPマイスターホーム代表 細井 誠(宅地建物取引士・AFP)

相模原に暮らして40年以上、町田で不動産の仕事をして20年以上。これまで1,000件以上のご相談をお受けしてきました。「買える家」ではなく、「無理なく、幸せに暮らせる家」をご提案します。趣味はトライアスロン。お客様が納得されるまで、最後までお付き合いします。プロフィール

目次

目次

この記事でわかること

結論:遠方の空き家の管理は「行く回数」と「頼む費用」のどちらを取るか

選択肢は、おおまかに3つです。

遠方の空き家の管理のしかた

やり方 向く人 費用の性格
自分で行く 帰省の用事とまとめられる人。近隣に知人がいる人 交通費と時間
管理サービスに頼む 年に数回しか行けない人。仕事を休みにくい人 毎月・毎回の費用
親族・近隣に頼む 信頼できる方が近くにいる人 謝礼・お礼の品

どれを選んでも、「ゼロ」にはできません

管理をまったくしないと、建物の傷みが早まり、近隣との関係も悪くなります。そして、放置が続けば市区町村の指導・勧告につながり、固定資産税の負担が重くなることもあります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

まず「何回なら帰れますか」を決めてください。年2回なのか、4回なのか。回数が決まれば、そこから逆算して、足りない分を頼む形が組めます。無理のない回数を先に決めてしまうほうが、結果的に続きます。

空き家を放置するとどうなるか|建物・近隣・税の3方向

メリットより先に、リスクを書きます。ここを知らずに「売れるまで放っておこう」と考えると、後で費用がかさみます。

① 建物が傷む

人が入らない家は、思っているより早く傷みます。

  • 湿気 — 換気されないとカビが出て、建材が傷みます
  • 排水管 — 水を流さないと封水(トラップにたまっている水)が乾き、下水の臭気や虫が室内に入ります
  • 雨漏り — 気づくのが遅れ、気づいたときには天井や柱まで及んでいることがあります
  • 小動物の侵入 — 屋根裏や床下に住みつくと、駆除と修繕に費用がかかります

② 近隣との関係が悪くなる

  • 草木が隣地や道路にはみ出す
  • 落ち葉、害虫、臭い
  • 不審者の出入り、不法投棄

ご近所との関係は、一度こじれると戻りにくいものです

遠方だと、苦情があっても耳に入らないまま時間が過ぎます。気づいたときには、連絡をいただくのも気まずい関係になっていることがあります。売るときにも、近隣の協力が必要な場面があります(境界の立ち会いなど)。

③ 税の負担が重くなることがある

国土交通省によれば、空家等対策の推進に関する特別措置法は令和5年(2023年)12月13日に改正法が施行され、特定空家等になる前の段階として管理不全空家等という区分ができました。

管理不全空家等について、指導をしてもなお状態が改善されない場合に市区町村長が勧告すると、その敷地は固定資産税の住宅用地の特例から除外されるとされています(地方税法の規定による)。

住宅用地の特例は、総務省の解説によれば、200㎡以下の部分が価格の6分の1、200㎡を超える部分が3分の1です。これが外れると、土地の税負担が重くなります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

遠方だと、市区町村からの通知が実家に届いて、気づかないことがあります。空き家になったら、郵便物の転送届(郵便局)と、通知の送付先の届出(市区町村)の2つをしてください。 届くようにしておけば、指導の段階で手を打てます。

空き家の管理で最低限やること|通風・通水・郵便・草木

では、何をすればよいのか。優先順位をつけます。

遠方の空き家で最低限やりたいこと

やること なぜ必要か 遠方での工夫
郵便物の転送 市区町村の通知・納税通知書を受け取る 最優先。まず郵便局で手続き
通水 排水管の封水が乾くと臭気・虫が入る 行くたびに全部の蛇口を流す
通風 湿気で建材が傷む 行くたびに窓を開ける。短時間でも効果はある
草木の手入れ 隣地へのはみ出し、苦情の原因 夏前に業者へ依頼する手もある
郵便受けの整理 たまると留守が分かる 転送手続きで大半は防げる
屋根・外壁の目視 雨漏りの早期発見 外から写真を撮っておくと変化が分かる

郵便物の転送と、納税通知書の送付先の届出は別の手続きです

費用がかからず、先に済ませられるのが郵便物と通知の届き先です。ここは2つの手続きに分かれます。

① 郵便物の転送届(郵便局)

  • 実家宛ての郵便物が、今住んでいる住所に転送される
  • 郵便受けがあふれない(防犯上も良い)

② 納税通知書・行政通知の送付先の届出(市区町村)

  • 固定資産税の納税通知書は、課税台帳に登録された住所に送られます。郵便の転送とは別に、市区町村へ送付先変更届を出す必要があります
  • 市区町村からの指導の通知も、この住所に届きます
  • 相模原市は、市外から市内へ転入した場合に資産税課への連絡が必要と公表しています。手続きの名前と要否は市区町村で違いますので、実家のある市区町村の資産税課に確かめてください
  • 海外にお住まいの場合は、納税管理人の申告が必要になります

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

転送届は郵便局の窓口やオンラインで出せますが、期間に上限があり更新が必要です。そして、転送届を出しても納税通知書の送付先は変わりません。 2つは別の手続きですので、両方必要です。

自分で行く場合|空き家の見回りの頻度と帰省1回でやること

行くと決めたら、1回でできることをまとめます。

帰省1回でやること(チェックリスト)

  • 全部の蛇口を流す(キッチン・洗面・浴室・トイレ)
  • 全部の窓を開けて、30分以上風を通す
  • 郵便受けを空にする
  • 屋根・外壁・雨どいを外から見る(写真を撮る)
  • 室内を一周して、カビ・雨漏り・小動物の跡を見る
  • 草木の状態を見て、次に業者を頼むか判断する
  • ご近所に挨拶する(連絡先を渡しておく)

ご近所に連絡先を渡しておくと、異変があったときに直接連絡が来ます

費用をかけずにできることです。連絡先を渡しておくと、何かあったときに先に教えてもらえます。苦情が市区町村に行く前に、直接連絡が来るようになります。

行く回数の目安

  • 夏(草木が伸びる時期) — ここが山場。年1回は夏に合わせる
  • 台風・大雪の後 — 被害の確認。行けなければ近隣に見てもらう
  • 年2回なら — 梅雨前と、秋

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

「何回なら帰れますか」を先に決めると、やることが決まります。優先度が高いのは、草木が伸びる夏と、台風の後です。その間は郵便と通知の届き先の手続きと、必要なら草刈りの手配だけ。すべてをやろうとすると続きません。

空き家管理サービスに頼む場合|何をしてくれるか・費用の目安

行けない分を補う方法です。

サービスの内容

事業者によって幅がありますが、おおむね次のような内容です。

  • 月1回程度の訪問、通風・通水
  • 郵便物の回収・転送
  • 外観の点検と写真つきの報告
  • 簡易な清掃
  • 草刈りや修繕が別料金になっていないかを契約書で確かめる

確かめること

管理サービスを比べるときに見る点

見る点 なぜ
訪問の頻度 月1回か、2か月に1回かで費用が変わる
報告の形 写真つきの報告があると、遠方でも状況が分かる
室内に入るか 外観だけのプランもある。通水には室内に入る必要がある
草刈りが含まれるか 別料金になっていないか。夏の費用が読めなくなる
緊急時の対応 台風や不審者のときに動いてくれるか
契約期間 売れたときにすぐ解約できるか

費用の目安はここでは書きません

事業者と内容で大きく変わるため、具体的な金額は書きません。複数社から見積もりを取って、内容と金額を並べて比べてください。 「月いくら」だけで決めると、草刈りが別料金で結局高くついた、ということが起こります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

地元の不動産会社が管理を請け負っていることもあります。売却を依頼する会社と管理を同じにすると、話が一本化されて楽になることがあります。ただし、売却の依頼と抱き合わせになっていないかは確かめてください。

空き家の火災保険と固定資産税|遠方でも変わらない負担

行く・行かないに関わらず、毎年かかるものです。

火災保険

人が住んでいない建物は、住宅用の火災保険をそのまま継続できない場合があります。空き家になった時点で、保険会社か代理店に連絡してください。

空き家になったら、保険会社・代理店に連絡が必要です

住んでいることを前提にした契約のままだと、万一のときに保険金が支払われないことがあります。空き家になったときは契約の条件が変わることがあるため、保険会社・代理店に確認してください。

固定資産税・都市計画税

毎年かかります。納税通知書は、課税台帳に登録された住所に届きます。遠方にお住まいなら、市区町村の資産税課に送付先変更届を出してください。郵便の転送だけでは、送付先は変わりません。

電気・水道

管理のために残すなら基本料金がかかります。止めると通水ができません。遠方で年に数回しか行かないなら、止めて、排水口に水を張っておくという判断もあります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

電気を止めるかどうかは、管理サービスを使うかで決まります。業者が通水するなら水道は必要です。契約の前に、どこまでやってもらうかを決めてから、止めるものを決めてください。

FPの視点|遠方の空き家の維持費は交通費を入れて1年分で比べる

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

自分で行く場合の1年分

自分で行く場合(ご自身の数字を入れてください)

  • 交通費(往復)    円 × 年  回 =     円
  • 宿泊費        円 × 年  回 =     円
  • 草刈りなどの外注   円 =     円
  • 固定資産税・都市計画税 =     円
  • 火災保険 =     円
  • 電気・水道の基本料金 =     円
  • 合計    円/年

管理サービスに頼む場合の1年分

頼む場合(ご自身の数字を入れてください)

  • 管理サービスの費用(月額 × 12、または訪問ごと) =     円
  • 草刈りなどの別料金 =     円
  • 年1回は自分で行くなら、その交通費 =     円
  • 固定資産税・都市計画税 =     円
  • 火災保険 =     円
  • 電気・水道の基本料金 =     円
  • 合計    円/年

「時間」も費目です

遠方への往復は、移動に丸1日かかる距離なら、時間も費目として入れてください。仕事を休めば、その分の収入も減ります。金額に置き換えて比べてみると、頼んだほうが安いという結論になることもあります。

売るまでの期間で考える

管理は「売れるまで」続きます。半年で売れるのか、2年かかるのかで、総額がまったく変わります。管理を続けるより、条件を見直して早く手放すほうが、結果として負担が軽くなることもあります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

なお、空き家の管理費や帰省の交通費は、売ったときの譲渡費用としては引けません。国税庁の公表では、譲渡費用は「売るために直接かかった費用」とされ、修繕費や固定資産税は含まれないとされています。家計上の負担として、別に見ておく必要があります。

向かない人・よくある失敗|遠方の空き家の注意点

この記事の範囲を超える方

こういう場合は、先に別の記事・専門家へ

  • 名義が亡くなった方のまま → 売る前に相続登記が必要です

よくある失敗

  1. 郵便物の転送だけで済ませていた → 納税通知書の送付先は、市区町村に届け出ないと変わりません
  2. 火災保険の連絡をしていなかった → いざというときに支払われないことがあります
  3. 水道を止めて、排水口に水を張らなかった → 臭気と虫が入り、室内が傷みます
  4. 「月いくら」だけで管理サービスを決めた → 草刈りが別料金のことがあり、夏に費用が増えます
  5. ご近所に連絡先を渡していなかった → 何かあっても知らされません

急がなくて大丈夫です

焦って決める必要はありません。納得いくまで、何度でもお付き合いします。ただし、郵便物と通知の届き先の手続き、そして火災保険の連絡だけは、今すぐやってください。いずれも費用がほとんどかかりません。

次に確かめること

まず、郵便物の転送届(郵便局)と、納税通知書の送付先の届出(市区町村の資産税課)が済んでいるかを確かめてください。転送届は郵便局の窓口かオンラインで出せます。送付先の届出は、実家のある市区町村にお尋ねください。

そのうえで、「年に何回なら帰れるか」を決めてください。回数が決まれば、足りない分をどう埋めるかが決まります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

実家の近くの不動産会社に問い合わせても、別の窓口を案内されて話が進まない、というご相談は近年少しずつ増えています。管理も売却も、窓口が1つにまとまっているか、連絡がこまめに来るかを確かめてください。

よくある質問

Q. 近所の方に鍵を預けてもよいですか?

A. 信頼できる方であれば、緊急時の備えとして有効です。ただし、預けた方に責任が及ばないよう、何をお願いするかをはっきりさせてください。「異変があったら電話をもらう」までにとどめ、立ち入りや修繕の判断はお願いしないほうが安全です。お礼の形も、最初に決めておくとお互いに気持ちよく続きます。鍵を預けない場合でも、連絡先だけは渡しておいてください。

Q. 何か月に1回行けばよいですか?

A. 一律の正解はありません。ご自身が帰れる回数から決めてください。遠方でそれが難しい場合は、夏(草木が伸びる時期)と、梅雨明けや台風の後を優先してください。年2回しか行けないなら、郵便物の転送と草刈りの外注で補う形になります。すべてをやろうとするより、続く形を選んでください。

Q. 電気・水道を止めると、どんなことで困りますか?

A. 水道を止めると通水ができなくなり、排水管の封水が乾いて下水の臭気や虫が室内に入ります。電気を止めると換気扇や照明が使えず、夜間の作業や防犯上の対策ができません。管理サービスに通水を頼むなら水道は必要です。どうしても止める場合は、排水口に水を張る、トラップに専用の液剤を入れるなどの対策をしてから止めてください。

Q. 管理サービスの費用はどのくらいですか?

A. 事業者と内容で大きく変わるため、ここでは金額を書きません。訪問の頻度、室内に入るかどうか、草刈りが含まれるか、報告の形、緊急時の対応で変わります。複数社から見積もりを取り、ご自身で行く場合の交通費・宿泊費・休む日数と並べて比べてください。「月いくら」だけで決めると、草刈りが別料金で夏に跳ね上がることがあります。

Q. 管理を続けるより、売却を急ぐべきでしょうか?

A. 売れる見込みがあるなら、早く手放すほうが管理の負担はなくなります。ただし、焦って安く売ると手元に残るお金が減ります。判断の材料としては、①年間の管理費・税・保険の合計、②売れるまでの見込み期間、③今の価格で売った場合の手取り、の3つを並べてください。売れる見込みが立たない場合は、価格の見直しや買取、空き家バンクなど別の道もあります。

まとめ|郵便と通知の届き先、火災保険の連絡を今すぐ

  1. 遠方の空き家の管理は「行く回数」と「頼む費用」のどちらを取るかで決まる。まず年に何回帰れるかを決める
  2. 放置すると、建物が傷む・近隣との関係が悪くなる・税負担が重くなる、の3方向でリスクが出る
  3. 令和5年12月13日施行の改正空家法で「管理不全空家等」ができた。指導後に勧告されると、住宅用地の特例から除外される
  4. まずやるのは郵便物の転送(郵便局)と、納税通知書の送付先変更届(市区町村の資産税課)。2つは別の手続き
  5. 火災保険は空き家になると契約の条件が変わることがある。今すぐ保険会社へ連絡する
  6. 自分で行く場合と頼む場合を、交通費と休む日数まで入れて1年分で比べる
  7. 管理費や帰省の交通費は、売ったときの譲渡費用としては引けない

※この記事の制度・数値は、下記の出典を 2026年10月9日 に確認したものです。制度は改正されることがありますので、実際の手続きの前に最新の公表をご確認ください。

遠方の実家の管理、年1回分の費用から一緒に出します

「年に何回なら帰れるか」から逆算して、足りない分をどう埋めるかを一緒に組み立てます。自分で行く場合と頼む場合を、交通費と休む日数まで入れて並べると、判断がはっきりします。首都圏にお住まいの方から、地方のご実家についてのご相談をいただく機会は近年少しずつ増えています。手続きの流れや段取りを間違えると、それだけで時間がかかります。焦って決める必要はありません。納得いくまで、何度でもお付き合いします。匿名でのご相談も承ります。

🙌 相談は無料です。LINEからのご相談も歓迎です。

LINEで相談