判断能力が失われた後に使うのが、法定後見です。家庭裁判所に申し立てて、本人を支える人(成年後見人など)を選んでもらう仕組みです。
申立てにかかる費用と期間
裁判所の案内による費用の内訳です。
後見開始の申立てで必要になるもの(裁判所の案内による)
| 項目 |
内容 |
| 申立てができる人 |
本人・配偶者・四親等内の親族など |
| 主な費用 |
申立ての手数料(収入印紙)、連絡用の郵便切手、登記手数料、医師の診断書の作成費用 |
| 鑑定が行われる場合 |
本人の判断能力について鑑定が行われることがあり、その費用がかかります |
| 後見人への報酬 |
家庭裁判所が決めます。本人が亡くなるまで毎年かかります |
金額は裁判所と事案で変わります。具体的な額は、申立先の家庭裁判所にお尋ねください。 期間についても、事案や裁判所によって変わりますので、ここで日数は書きません。
売却代金は、ご家族が自由に使えるお金にはなりません
売れたお金は、あくまでご本人の財産です。後見人の管理下に入り、ご本人のために使うことになります。「実家を売って、そのお金を家族で使う」という形にはなりません。
施設費用や介護費用など、ご本人のための支出であれば、そこから出せます。ここを誤解したまま進めないでください。
3つの類型
判断能力の程度によって分かれます。
法定後見の3つの類型
| 類型 |
対象となる状態 |
| 後見 |
判断能力が欠けているのが通常の状態 |
| 保佐 |
判断能力が著しく不十分 |
| 補助 |
判断能力が不十分 |
居住用不動産を売るには、家庭裁判所の許可が要る
ここが、売却の段取りに直接ひびきます。裁判所の案内によれば、本人の居住用不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可が必要とされています(未成年後見の場合を除く)。
対象になるのは、売却のほか、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定、建物の取り壊しなどです。許可を得ずに行った処分は無効とされます。
「今は住んでいない家」も居住用不動産に含まれます
裁判所の案内では、現に住居として使用している場合に限らず、入院や施設入所で現在は住んでいないが将来住む可能性がある場合や、入所前に居住していた場合なども含むとされています。施設に入られた後の実家は、まさにこれに当たります。
後見人には、家族がなれるとは限りません
最高裁判所の統計(令和7年1月〜12月)では、配偶者・親・子・兄弟姉妹・その他親族が成年後見人等に選任されたのは全体の約16.4%でした。残りは、司法書士や弁護士などの専門職です。
申立てのときに家族を候補者として挙げることはできますが、誰を選ぶかを決めるのは家庭裁判所です。
法定後見で押さえておきたいこと
| 項目 |
内容 |
| 申立て先 |
本人の住所地の家庭裁判所 |
| 後見人を決める人 |
家庭裁判所 |
| 親族が選ばれる割合 |
約16.4%(令和7年・最高裁判所事務総局家庭局の統計) |
| 居住用不動産の売却 |
家庭裁判所の許可が必要 |
| いつまで続くか |
原則として本人が亡くなるまで |
💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス
「家を売るためだけに後見人をつける」とはいきません。一度始まると、原則として本人が亡くなるまで続きます。専門職が選ばれれば、その間の報酬も発生します。家の売却だけを目的に考えると、見込み違いになります。