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地方の実家相続

遠方の実家を相続したら|首都圏から進める手順と、売る・貸す・管理・手放すの選び方

2026年9月29日

「実家が遠方にあって、相続の手続きのたびに帰るのは難しい」
「親の家が空き家になりそうだけど、遠くの実家をどうすればいいのか分からない」
「実家の近くの不動産会社に電話してみたけれど、別の窓口を案内されて、話がなかなか進まない」

首都圏にお住まいで、地方にご実家がある方から、このようなご相談をいただくことが、ここ数年で少しずつ増えていると感じています。
結論から言うと、遠方の実家の相続は、①相続の手続き → ②実家の扱いを決める → ③売る・貸す・管理する・手放すを実行するの3段階に分け、段取りを先に決めておくと、現地に行く回数も、かかる時間も抑えやすくなります。
この記事では、全体の流れ、郵送やオンラインで進められる手続き、相続登記の義務化、空き家のまま持つときの注意点、4つの選択肢の比べ方を、宅建士とFPの両方の視点でまとめます。

細井誠

✍️ この記事を書いた人

FPマイスターホーム代表 細井 誠(宅地建物取引士・AFP)

相模原に暮らして40年以上、町田で不動産の仕事をして20年以上。これまで1,000件以上のご相談をお受けしてきました。「買える家」ではなく、「無理なく、幸せに暮らせる家」をご提案します。趣味はトライアスロン。お客様が納得されるまで、最後までお付き合いします。プロフィール

目次

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この記事でわかること

遠方の実家の相続は「3つの段階」で考える|全体の流れ

遠方の実家の相続の流れは、大きく3つの段階に分けられます。いきなり「売るか、残すか」から考え始めると、手続きの順番が前後して、かえって時間がかかりがちです。まず全体の地図を持っておきましょう。

遠方の実家の相続|3つの段階

段階 主にすること 目安の期限(公的な定め)
① 相続の手続き 相続人と財産の確認、遺言書の有無の確認、遺産分割協議(相続人どうしで分け方を決める話し合い) 相続放棄は、相続の開始を知った時から3か月以内(裁判所)/相続税の申告は、死亡を知った日の翌日から10か月以内(国税庁)
② 実家の扱いを決める 名義を誰にするか、価値と維持費の確認、家族の意向の確認 相続登記は、相続で取得を知った日から3年以内(法務省)
③ 実行する 売る・貸す・管理する・手放す(国庫帰属=国に土地を引き取ってもらう制度など)のいずれか 選択肢ごとに異なる(税の特例には期限があるものも)

期限の数字は、裁判所・国税庁・法務省の公式情報(2026年9月時点)で確認したものです。

相続税は、遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、原則として申告は要りません(国税庁 No.4152、2026年4月1日現在法令等)。たとえば法定相続人が2人なら、基礎控除額は4,200万円です。遺産の総額がこれを超えそうな場合は、10か月の期限を意識して、早めに税理士か税務署で申告の要否と税額を確かめてください。

なお、相続放棄(家庭裁判所に申し出て、はじめから相続人でなかったことにする手続き)をすると、実家だけでなく預貯金なども含めて相続しないことになります。実家だけを選んで放棄することはできない点に注意してください。

相続が起きた直後の「最初にやること」は、実家を相続したら最初にやることで期限ごとに整理しています。親御さんがお元気なうちに準備できることは、親の家の終活もあわせてご覧ください。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

3つの段階のうち、遠方の方がつまずきやすいのは「①が終わらないうちに③の話を始めてしまう」ことです。名義や分け方が決まっていないと、売却の話は先に進めません。まず①と②を紙1枚に書き出すところから始めるのがおすすめです。

遠方の実家は「帰省1回で何をするか」を先に決める|現地に行く回数を減らす段取り

遠方の実家の相続では、帰省1回で何をするかを先に決めておく段取りが大切です。実家が遠方にあると、近くに住んでいる場合にはない難しさが出てきます。これまで多くのご相談をお受けしてきた中で、地方のご実家のご相談では、次のようなお悩みをよくお聞きします。

  • 実家の近くの不動産会社に問い合わせたら、別の窓口を案内されて、なかなか話が進まない
  • 何から手を付ければいいか分からず、手続きの順番を間違えて、思った以上に時間がかかってしまった

前者は、どちらかが悪いという話ではありません。地方の不動産会社にも得意分野があり、売買が中心の会社、賃貸が中心の会社、相続の相談窓口を別に設けている会社など、それぞれの体制があります。最初の問い合わせで、自分の状況(相続の手続きがどこまで進んでいるか、売りたいのか迷っているのか)を短く伝えられると、適切な窓口につながりやすくなります。

後者は、段取りの問題です。遠方の場合、1回の帰省でできることが限られます。「次に帰るときに何をするか」を決めずに帰ると、書類が足りずにもう一度帰る、ということが起きやすくなります。

現地に行く回数を減らす3つの工夫

  1. 帰省の前に「現地でしかできないこと」を分ける:家の中の確認、遺品の整理、近所へのあいさつ、郵便物の確認などは現地でしかできません。書類の請求や申請は、郵送やオンラインで進められるものが多くあります(次の章で整理します)
  2. 1回の帰省で済ませることを決めておく:不動産会社の訪問査定や、鍵の預け先の相談など、現地で人と会う予定は、同じ日にまとめます
  3. 家族の中で窓口役を1人決める:きょうだいが別々に動くと、同じ書類を二重に取り寄せたり、不動産会社への説明が食い違ったりします

遠方の実家を売るとき、現地に行かずに進めやすいこと

売却を考える場合も、すべての場面で現地に行く必要があるわけではありません。一般的には、次のように分けて考えます。

  • 査定:机上査定(書類や周辺の取引情報から出す概算)は電話やメールで依頼できます。訪問査定は帰省の日に合わせます
  • 媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約):書類を郵送でやり取りして結べる会社もあります
  • 売買契約・引き渡し:立ち会いの方法(書類を郵送で順に回して署名する方法、代理人に任せる方法など)は、会社や取引の内容によって違います。司法書士による本人確認の方法も、あわせて確かめてください

最初の問い合わせのときに「現地に何回行く必要がありそうか」を聞いておくと、帰省の予定を立てやすくなります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

遠方の実家は「何度も帰れない」ことを前提に、1回の帰省の中身を濃くするのが基本です。帰る前に、現地でしかできないことを箇条書きにしておくと、帰省が「作業の日」になり、後回しになりにくくなります。

郵送・オンラインでできる手続き|首都圏にいながら進める

相続の手続きの中には、実家のある地域の役所や法務局に行かなくても、郵送やオンライン、首都圏の窓口で進められるものがあります。以下は、法務省・法務局の公式情報(2026年9月時点)で確認できた範囲です。

首都圏にいながら進めやすい手続き(2026年9月時点)

手続き できること 確認先
戸籍証明書の広域交付 本籍地が遠くても、住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で、全国の戸籍をまとめて請求できる(2024年3月1日から)。本人が窓口に行き、顔写真付きの身分証を示す必要があり、郵送・代理人の請求はできない 法務省
法定相続情報証明制度 相続人の一覧を法務局が証明する制度。申出先は、亡くなった方の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、不動産の所在地から選べ、郵送でも申し出られる 法務局
登記事項証明書の請求 実家の登記の内容を確かめる書類。オンラインで請求し、郵送で受け取れる 法務局
相続登記の申請 書面を郵送で申請できる(書留郵便で送る)。オンライン申請もあるが、戸籍などの書類は別に郵送などで提出が必要 法務局
相続土地国庫帰属制度の相談 土地から遠方に住んでいる場合などは、近くの法務局(本局)でも相談でき、電話・ウェブ相談もある(予約制) 法務省

たとえば、戸籍の広域交付は、町田市や相模原市にお住まいの方なら、お住まいの市の窓口で地方の本籍地の戸籍も請求できる仕組みです。郵送ではなく窓口での請求になる点は注意してください。

法定相続情報証明制度は、申出人の住所地の法務局も申出先に選べるため、首都圏にいながら使いやすい制度です。銀行の手続きや相続登記で、戸籍の束を何度も出し直す手間を減らせます。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

郵送やオンラインでできる手続きは、帰省の前に済ませておくと、現地では「家のこと」に時間を使えます。戸籍の取り寄せと登記事項証明書の確認を、最初の1か月の目標にするのがおすすめです。

相続登記の義務化|遠方の実家も対象。申請は郵送でもできる

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記(亡くなった方から相続人へ不動産の名義を変える登記)が義務になりました。施行日・期限・過料・相続人申告登記といった制度の中身は相続登記の義務化で何が変わった?期限・過料と自分でできる範囲にまとめています。ここでは、遠方の実家だからこそ気をつけたい2つに絞ります。

1. 祖父母の代から名義が変わっていないことがある

地方の実家では、祖父母やその前の代の名義のままになっていることがあります。2024年4月1日より前の相続で、まだ登記していない不動産も義務化の対象です。まずは登記事項証明書をオンラインで請求して、今の名義人が誰かを確かめてください。名義が何代も前のままの場合は、戸籍の収集や相続人全員の話し合いに時間がかかるため、早めに司法書士(登記の専門家)に相談しておくと進めやすくなります。

2. 相続登記は郵送でも申請できる

相続登記の申請先は実家のある地域の法務局ですが、書面を書留郵便で送って申請することができます。オンライン申請もありますが、戸籍などの書類は別に郵送などで提出が必要です(法務局、2026年9月時点)。自分で申請するか、司法書士に頼むかは、名義の状況と相続人の人数で決めるのが現実的です。遠方の実家を実際に売るときの段取りは遠方の実家を売る段取りにまとめています。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

相続登記は「売るときにやればいい」と思われがちですが、今は期限のある義務です。売る・残すが決まっていなくても、名義の確認だけは先に進めてください。名義がはっきりしていると、その後の選択肢の比較もしやすくなります。

遠方の実家、空き家になったらどうする?決める前に確かめること

「遠方の実家が空き家になるけれど、どうする?」と聞かれたとき、私はすぐに「売りましょう」「残しましょう」とはお答えしません。まず、次の5つを先に確かめてください。

実家の扱いを決める前に確かめたい5つのこと

確かめること 見るポイント 調べ方
① 名義と相続人 今の名義人、相続人は誰か、全員の意向 登記事項証明書、戸籍
② 家と土地の状態 建てた時期、傷み具合、境界がはっきりしているか 現地確認、建物の書類、測量図の有無
③ 周りの取引の状況 近くで似た家がいくらで、どのくらいの期間で取引されているか 国土交通省の不動産情報ライブラリ、現地の不動産会社の査定
④ 持ち続ける費用 固定資産税、火災保険料、管理の費用、帰省の交通費 固定資産税の納税通知書、保険証券
⑤ 家族の気持ち 「誰かが住む予定はあるか」「思い出の品をどうするか」 きょうだい・親族との話し合い

特に④は、首都圏に住む方の家計にそのまま響きます。自分の家の住宅ローンや教育費を払いながら、遠方の実家の費用も払い続けることになるからです。次の式に、実家の納税通知書や保険証券の金額を入れて、「使う予定のない家に、毎年いくら払っているか」を一度数字にしてみてください。

実家の年間費用=固定資産税+火災保険料+管理の費用+帰省の交通費×年間の回数

一方で、「今すぐ決めない」ことも選択肢の一つです。家族の気持ちの整理がつかないうちは、管理の方法を決めて一定期間持ち続け、その間に比べる、という進め方もあります。

よくある失敗と、急がないほうがよいケース

  • 査定を1社だけ受けて、その金額を前提に家族で話を進めてしまう(地方の家は、価格の幅が大きくなることがあります)
  • 遺品の整理を先に済ませてしまい、権利証や建物の図面など、売却や登記に必要な書類を処分してしまう
  • きょうだいで話し合わないまま、実家を共有名義(複数人の名義)にしてしまい、後で売るときに全員の同意が必要になる
  • 相続人の間で分け方がまとまっていないのに、不動産会社と売却の話を進めてしまう

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

「どうする?」の答えは、家族の数だけあります。ただ、5つの確認が済んでいないうちに結論を出すと、あとで話が振り出しに戻りがちです。5つを表にして家族で共有すると、話し合いが感情論になりにくくなります。

売る・貸す・管理する・手放す|4つの選択肢の比べ方と空き家バンク・国庫帰属

遠方の実家の扱いは、大きく4つに分けられます。比べるときは、「売れる見込み」「貸せる見込み」「持ち続けたときの年間費用」「家族の意向」の4つの軸で並べると、向き・不向きが見えやすくなります。町田・相模原の実家を例に、売る・住む・貸すの税金と維持費を比べた相続した実家を売る・住む・貸すの比較も、考え方の参考になります。

遠方の実家|4つの選択肢の比較

選択肢 向いている場合 注意点
売る(売却) 住む予定がなく、買い手が見込める 相続登記が済んでいる必要がある。契約や引き渡しの立ち会いの段取りが要る
貸す(賃貸) 家の状態がよく、借り手の需要がある 修繕の費用、借り手への対応。遠方では管理を任せる先が要る
管理して持ち続ける 将来だれかが住む予定がある、今は決められない 固定資産税・保険・管理の費用がかかり続ける。管理不全空家(管理が不十分と市区町村が判断した空き家。後の章で説明)に注意
手放す(国庫帰属など) 売却も賃貸も難しい土地 使える土地に条件がある。費用がかかる

売れにくいときに検討したい「買取」と「空き家バンク」

仲介(不動産会社が買い手を探す方法)で買い手が見つかりにくいときは、買取(不動産会社が直接買い取る方法)も選択肢になります。一般に、仲介より価格は低くなりやすい一方、売れるまでの期間や、現地に行く回数を抑えやすい方法です。

空き家バンクは、自治体などが、地域の空き家の情報を、利用したい人に紹介する取り組みです。国土交通省によると、各自治体の空き家の情報を集めて検索できる「全国版空き家・空き地バンク」が、2018年(平成30年)4月から本格運用されています(2026年9月時点で確認)。運営は民間の2社で、国は構築費用の一部を補助しています。

登録の条件や手続きは自治体ごとに違います。実家のある市町村の空き家対策の担当窓口に、「登録できるか」「登録すると誰が買い手・借り手との間に入るのか」を問い合わせてみてください。

相続土地国庫帰属制度(概要)

相続土地国庫帰属制度は、相続などで取得した土地を、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる制度で、2023年(令和5年)4月27日に始まりました。法務省の公式情報(2026年9月時点)で確認できた概要は次のとおりです。

  • 申請できるのは、相続や相続人への遺贈で土地を取得した人
  • 建物がある土地は対象外(家を取り壊してから申請する必要がある)。担保が付いている土地、境界がはっきりしない土地、土壌汚染のある土地なども申請できない
  • 審査手数料は土地1筆あたり14,000円。承認されたら、10年分の管理費用にあたる負担金を納める(20万円が基本。市街化区域(市街地として整備を進める区域)などの宅地・農地や森林は、面積に応じて算定)
  • 申請先は、土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局

「実家」の場合は建物があるため、解体費用も含めて考える必要があります。売却や空き家バンクで手を尽くしたあとの、最後の選択肢の一つとして知っておくとよい制度です。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

4つの選択肢は、「売る・貸す・持ち続ける」を先に比べ、どれも難しいときに「手放す」を考える順番がおすすめです。国庫帰属は解体費と負担金がかかるため、売却できる見込みがあるなら、まずそちらを確かめてください。

空き家のまま持つなら|管理不全空家と固定資産税

実家を空き家のまま持ち続ける場合に知っておきたいのが、2023年(令和5年)12月13日に施行された改正空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)です。

国土交通省の資料(2026年9月時点で確認)によると、改正で「管理不全空家等」という区分が新しくできました。放置すれば「特定空家等」(倒壊のおそれなどがある空き家)になるおそれのある空き家について、市区町村長が指導・勧告できるようになり、勧告を受けた管理不全空家の敷地は、固定資産税の住宅用地特例(住宅が建っている土地の固定資産税を軽くする特例)の対象から外れます。

固定資産税の住宅用地特例(国土交通省の資料より)

区分 固定資産税の課税標準(税額を計算するもとになる額)
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 6分の1に減額
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 3分の1に減額
勧告を受けた特定空家・管理不全空家の敷地 特例の対象から除外

特例の対象から外れると、土地の固定資産税の計算のもとになる額が、減額されない状態に戻ります。ただし、実際の税額は土地の評価や自治体によって変わるため、「何倍になる」とは一概に言えません。実家の納税通知書を見て、住宅用地特例がどれだけ効いているかを確かめておくと、判断の材料になります。

遠方で空き家を管理するときは、次のような方法を組み合わせます。

  • 帰省の回数を決めて、換気・通水・郵便物の整理をする
  • 近くに住む親族や知人に、見回りをお願いする
  • 空き家の管理サービス(民間の見回り代行など)を使う
  • 庭木の越境や、雨どい・屋根の傷みなど、近所に影響が出やすい部分を優先して手を入れる

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

管理不全空家の勧告は、いきなり来るものではなく、指導などの段階を経ます。自治体から連絡が来たら、放置せずに早めに相談してください。遠方で管理が難しいと感じたら、それ自体が「持ち続けるか」を見直すきっかけになります。

FPの視点|空き家の3,000万円控除の期限・火災保険・家計で先に確かめる3つのこと

実家の扱いは、首都圏での自分の暮らしの家計と切り離せません。FP(ファイナンシャルプランナー)の視点で、空き家の3,000万円控除の期限、火災保険、自分の家計の3つを先に確かめてください。

1. 売るときの税金:空き家の3,000万円特別控除

国税庁のタックスアンサー(2026年4月1日現在法令等)によると、亡くなった方が住んでいた家(相続の開始の直前に、ほかに住んでいる人がいなかった家)とその敷地を相続し、一定の要件を満たして売った場合、譲渡所得(売って得た利益)から3,000万円を上限に控除できる特例があります。

  • 対象は、2016年(平成28年)4月1日から2027年(令和9年)12月31日までの売却
  • 家が1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられたこと、売却代金が1億円以下であることなどの要件がある
  • 2024年(令和6年)1月1日以後の売却で、その家と敷地を相続した相続人が3人以上の場合は、控除は2,000万円まで
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要がある
  • 老人ホームに入所していた場合なども、一定の条件で対象になることがある

この特例には期限があるため、「いつまでに決めるか」にも影響します。相続した実家を売るときの控除の考え方は相続した実家を売る手順で、売却時の税金全体は売却時の税金の記事で解説しています。細かい要件は税務署・税理士で確かめてください。

2. 火災保険:空き家になったら契約内容を確かめる

親御さんが住んでいたときの火災保険は、空き家になったあとも同じ条件で続けられるとは限りません。保険会社や代理店に「空き家になった」ことを伝え、今の契約で補償されるかを確かめてください。あわせて、実家の地域のハザードマップを見て、水災補償(洪水などによる損害の補償)が必要かも検討します。

3. 自分の住宅ローンと家計への影響

首都圏で住宅ローンを返しながら、遠方の実家の固定資産税・保険料・交通費を払う場合、毎月の家計の中で「実家の費用」がいくらになるかを数字にしておきましょう。親御さんに住宅ローンが残っていた場合は、団体信用生命保険(ローンを借りた人が亡くなったときに残りを返済する保険)で完済になるかどうかを、借入先の金融機関に確かめてください。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

実家の話は気持ちが先に立ちやすいですが、まず「持ち続けると年にいくら」「売ると手元にいくら残るか」を並べて見るところから始めるのがおすすめです。数字がそろうと、家族の話し合いも前に進みやすくなります。

よくある質問

Q. 実家が遠方でも、相続の手続きは首都圏から進められますか?

A. 多くの手続きは進められます。戸籍の広域交付(最寄りの市区町村の窓口)、法定相続情報証明制度(郵送可)、登記事項証明書のオンライン請求、相続登記の郵送申請などが使えます。ただし、家の中の確認や遺品の整理など、現地でしかできないこともあるため、帰省の回数を決めて段取りを組むのがおすすめです。

Q. 相続登記をしないまま放っておくと、どうなりますか?

A. 2024年4月1日から相続登記は義務になり、正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料の対象になります(法務省)。2024年4月1日より前の相続で未登記のものは、2027年3月31日までの猶予期間があります。売る予定がなくても、名義の確認は早めに進めてください。

Q. 遠方の実家が売れない場合、どうすればいいですか?

A. まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、価格や売り方を見直します。そのうえで、不動産会社による買取、自治体の空き家バンクへの登録、賃貸、相続土地国庫帰属制度などを検討します。国庫帰属は建物があると申請できず、審査手数料や負担金がかかるため、最後の選択肢の一つとして考えるのが現実的です。

Q. 空き家のままにしておくと、固定資産税は上がりますか?

A. 空き家であること自体で、すぐに上がるわけではありません。ただし、管理が不十分で市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」として勧告を受けると、住宅用地特例の対象から外れ、土地の固定資産税が上がる場合があります。定期的な管理が大切です。

Q. 町田・相模原の不動産会社に、地方の実家の相談をしてもいいのですか?

A. はい、ご相談いただけます。当社では、相続の手続きの順番、税金、売る・貸す・持ち続けるの比較など、お金と手順の整理をお手伝いしています。そのうえで、現地の不動産会社や司法書士・税理士にお任せしたほうがよいことは、最初に正直にお伝えします。

Q. きょうだいで実家を相続する場合、共有名義にしても大丈夫ですか?

A. 共有名義にすると、売るときや貸すときに共有者全員の同意が必要になり、話がまとまらないと動けなくなることがあります。誰か1人が相続して他のきょうだいにお金で調整する方法や、売ってお金で分ける方法(換価分割)もあります。分け方の最終的な判断は、税理士や司法書士にも相談してください。

まとめ|遠方の実家の相続は、段取りを先に決める

  1. 遠方の実家の相続は「①相続の手続き → ②実家の扱いを決める → ③実行する」の3段階で考える
  2. 戸籍の広域交付、法定相続情報証明制度、登記事項証明書のオンライン請求など、首都圏から進められる手続きを先に済ませ、帰省は「現地でしかできないこと」に使う
  3. 相続登記は2024年4月から義務。遠方の実家も、まず登記事項証明書で名義を確かめる
  4. 売る・貸す・管理する・手放すは、5つの確認(名義・状態・取引状況・費用・家族の気持ち)を済ませてから比べる
  5. 空き家のまま持つなら、管理不全空家の勧告で固定資産税の住宅用地特例が外れることに注意する

まずは、実家の登記事項証明書をオンラインで請求して、今の名義人が誰かを確かめるところから始めてみてください。名義が分かると、次に誰と話せばよいか(ほかの相続人か、司法書士か、現地の不動産会社か)が分かります。

地方のご実家のことで、こんなことにお困りではありませんか。

・実家の近くの不動産会社に問い合わせたら、別の窓口を案内されて、なかなか話が進まない

・何から手を付ければいいか分からず、手続きの順番を間違えて、思った以上に時間がかかってしまった

首都圏にお住まいの方から、地方のご実家についてのご相談をいただくことが、ここ数年で少しずつ増えています。

地方のご実家のご相談も、まずはお話をお聞かせください。相続の手続き、税金、売る・貸す・持ち続けるの比較など、お金と手順の整理はお手伝いできます。

そのうえで、当社で対応できることと、現地の不動産会社や専門家(司法書士・税理士など)にお任せしたほうがよいことを、最初に正直にお伝えします。

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