FPマイスターホーム|住宅ローン相談に強いファイナンシャルプランナーの不動産売買専門店 > 不動産コラム > 終活・相続 > 相続登記の義務化で何が変わった?期限・過料と自分でできる範囲

終活・相続

相続登記の義務化で何が変わった?期限・過料と自分でできる範囲

2026年10月2日

「相続登記が義務になったと聞いたけれど、うちに関係あるのだろうか」
「親が亡くなったのは何年も前。今さら登記していないと、罰金を取られるのだろうか」

相続のご相談でよくいただく質問で、ここ最近は増えています。

結論から申し上げます。相続登記の申請義務化は令和6年(2024年)4月1日に始まっており、施行日より前の相続にもさかのぼって適用されます。そして、施行日より前に相続を知っていた不動産の期限は、令和9年(2027年)3月31日です。この記事を書いている令和8年10月の時点で、残りはおよそ半年です。

ただし、期限に間に合わないからといって、すぐに過料が科されるわけではありません。手続きの順番と、間に合わないときの受け皿の制度があります。この記事では、自分に義務があるのか、期限はいつなのか、何をどこまで自分でできるのかを、法務省の公表資料で確かめながら整理します。

細井誠

✍️ この記事を書いた人

FPマイスターホーム代表 細井 誠(宅地建物取引士・AFP)

相模原に暮らして40年以上、町田で不動産の仕事をして20年以上。これまで1,000件以上のご相談をお受けしてきました。「買える家」ではなく、「無理なく、幸せに暮らせる家」をご提案します。趣味はトライアスロン。お客様が納得されるまで、最後までお付き合いします。プロフィール

目次

目次

この記事でわかること

結論:義務化は過去の相続にも及ぶ。まず自分の期限を確かめる

相続登記とは、不動産の持ち主が亡くなったときに、登記簿の名義を相続人に変える手続きのことです。これまでは「やってもやらなくてもよいもの」でしたが、法律が変わって申請が義務になりました。

まず押さえていただきたいのは、次の3点です。

相続登記の義務化・3つの要点(法務省の公表による。令和8年10月時点)

項目 内容
施行日 令和6年(2024年)4月1日
期限 相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内
施行日より前の相続 令和9年(2027年)3月31日まで

「親が亡くなったのは10年前だから、昔の話は関係ない」と思われる方が多いのですが、そうではありません。施行日より前に相続したことを知っていた不動産も対象で、その期限が令和9年3月31日です。

そして、義務に違反した場合は、正当な理由がないときに限り、10万円以下の過料の対象になります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

まずご自身の状況を、次のどちらかに当てはめてみてください。①令和6年4月1日より前に相続を知った → 期限は令和9年(2027年)3月31日。②それ以降に知った → 知った日から3年以内。古い相続ほど①に当てはまります。

相続登記の義務化はいつから?施行日・対象・過料

変わったのは「登記をするかどうかは相続人の自由」という前提です。

法務省は、相続登記の申請義務化について、相続によって不動産を取得した相続人に対し、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないとしています。そして、正当な理由なくこれを怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があるとしています。

背景にあるのは、持ち主が分からない土地(所有者不明土地)の問題です。名義が何代も前のままになっていると、売ることも、貸すことも、行政が用地として取得することもできません。道路の拡幅や再開発が進まない原因にもなります。

「過料」は罰金とは違う

過料は、刑罰である罰金とは別のものです。前科にはなりません。ただし、金銭の負担であることに変わりはありません。

対象になるのは不動産だけ

義務の対象は、土地・建物といった不動産の登記です。預貯金や株式の名義変更は、この義務化の対象ではありません。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

「義務化」と聞くと身構えてしまいますが、やること自体は以前から変わりません。変わったのは期限が付いたことです。まずは登記簿(登記事項証明書)を取って、今の名義を確かめるところからで十分です。

相続登記の義務化は過去の相続にもさかのぼる|期限は2027年3月31日

ここが、いちばん見落とされやすいところです。

法務省は、令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産について、令和9年3月31日までに登記する必要があるとしています。つまり、20年前の相続でも、30年前の相続でも、名義が変わっていなければ対象です。

「祖父の名義のまま」という土地

たとえば、次のような形です。

  • 祖父が亡くなったとき、誰も登記をしなかった
  • その後、父も亡くなった
  • 今の登記簿の名義は、祖父のまま

この状態を数次相続(相続が終わらないうちに次の相続が起きること)といいます。世代をまたぐたびに相続人が枝分かれして増えるため、集める戸籍の範囲も、連絡を取る相手も広がります。これまでに、いとこの世代まで含めて相続人が10人を超える案件も扱ってきました。

時間が経つほど、集める書類と連絡先が増えます

世代をまたぐと相続人が増え、集める戸籍の範囲が広がり、連絡を取る相手も増えます。手続きそのものが難しくなるわけではありませんが、かかる時間と費用は増えます。これは制度上そうなる、というだけの話です。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

期限まで半年を切っていても、慌てて自己判断で書類を作る必要はありません。相続人が多い場合は、後で説明する相続人申告登記という受け皿があります。まず現状を把握してください。

期限の数え方|「知った日」から数える

期限は「亡くなった日から3年」ではありません。自分がその不動産を相続で取得したことを知った日から3年です。

この違いは、次のような場面で効いてきます。

  • 疎遠だった親族が亡くなり、しばらく経ってから相続人だと知らされた
  • 遺言書が後から見つかり、自分が取得することになった

この場合、起算点は「知った日」です。亡くなった日ではありません。

遺産分割がまとまったら、そこからもう一度3年

法務省のQ&Aでは、遺産分割をしていない場合、すべての相続人が法定相続分(法律で定められた取り分)の割合で不動産を取得(共有)した状態となるため、全員が義務を負うとされています。

そのうえで、遺産分割が成立した場合には、遺産分割の日から3年以内に、その結果に基づく登記をする義務があるとされています。つまり期限は2段階です。

期限の数え方(法務省の公表による。令和8年10月時点)

場面 起算点 期限
通常の相続 相続で取得したことを知った日 3年以内
施行日より前に知っていた ― 令和9年3月31日まで
遺産分割が成立した 遺産分割の日 3年以内

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

分割が決まっていなくても、3年の期限は動いています。話し合いがまとまらないから期限も止まる、ということはありません。決まらない間をどうするかが、次の章の話です。

すぐに登記できないときは相続人申告登記|単独で申し出でき、登録免許税もかからない

遺産分割がまとまらない、相続人が多くて戸籍が集まらない。そういうときのために作られたのが、相続人申告登記です。

法務省によれば、この制度は、期限内に相続登記の申請をすることが難しい場合に、簡易に相続登記の申請義務を履行できるようにする仕組みです。自分が登記簿上の所有者の相続人であることを、期限内に登記官に申し出ることで、義務を履行したことになります。

押さえておきたい特徴は次のとおりです。

相続人申告登記の要点(法務省の公表による。令和8年10月時点)

項目 内容
誰が申し出るか 特定の相続人が単独で申し出できる(他の相続人の分をまとめて代理申出も可)
費用 登録免許税がかからない
効果 期限内に申し出れば、相続登記の申請義務を履行したことになる
限界 権利関係を公示するものではない

売却・担保設定には、別途の相続登記が必要

法務省は、相続人申告登記について、不動産の権利関係を公示するものではないため、相続した不動産を売却したり、抵当権を設定したりする場合には、別途、相続登記の申請をする必要があるとしています。また、遺産分割に基づく相続登記の申請義務を履行することはできない、ともされています。

つまり相続人申告登記は、期限を止めるための応急処置です。売る・貸す・担保に入れるといった実際の動きには、あらためて相続登記が必要になります。

「申告登記をしたから安心」ではありません

実家を売るつもりがある方が、相続人申告登記だけで止まっていると、いざ売買の話が進んだときに登記からやり直すことになります。売却の予定があるなら、最初から相続登記を目指したほうが早く済みます。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

単独で申し出できて、登録免許税がかからない。この2点が相続人申告登記の使いどころです。きょうだいの足並みが揃わない間に、期限だけ先に満たしておく手段だとお考えください。

相続登記を自分でできる範囲と、司法書士に頼む範囲

「自分でできますか」も、よくいただく質問です。正直にお答えすると、できる場合とできない場合があります。

自分でやりやすいケース

  • 相続人が少ない(配偶者と子1〜2人など)
  • 遺産分割の話し合いがすでにまとまっている
  • 対象の不動産が1か所(町田市内の自宅だけ、など)
  • 平日に法務局へ行く時間が取れる

このような場合は、法務局の相談窓口を使いながら、ご自身で申請される方もいらっしゃいます。

集める書類のおおよその範囲

自分でやるかどうかの判断材料として、集めるものの名前だけ挙げておきます。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、固定資産評価証明書、遺産分割協議書など。戸籍の通数が多くなる場合は、法定相続情報一覧図(相続関係を1枚にまとめた証明)を作ると、金融機関などへの提出のたびに戸籍一式を出し直さずに済みます。申請書の書き方そのものは司法書士の領域ですので、この記事では扱いません。

専門家に頼んだほうがよいケース

  • 数次相続で、相続人が多い・所在の分からない相続人がいる
  • 不動産が複数の市区町村にまたがっている
  • 遺言書の有効性や、遺産の範囲で意見が分かれている
  • 遠方の実家で、現地の法務局に行けない(遠方の実家の進め方は遠方の実家を相続したらへ)

登記の申請を代理できるのは司法書士です。私たち不動産会社は登記の代理はできませんので、ここは正直に申し上げます。当社では、必要に応じて司法書士をご紹介しています。

この記事でお伝えできる範囲について

相続登記の具体的な申請方法や、個別の事案で誰が相続人になるかといった判断は、司法書士・弁護士の領域です。この記事は「自分に義務があるか」「期限はいつか」を確かめていただくためのものとお考えください。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

迷ったら、まず法務局の登記相談を使ってみてください。無料で、手続きの流れを教えてもらえます。そのうえで「これは自分では無理だ」と感じたら、司法書士に頼む。この順番がいちばん無駄がありません。

FPの視点|相続登記を放置するデメリットは、売るとき・貸すときに出る

過料の話ばかりが取り上げられますが、実務でもっと困るのは動かせなくなることのほうです。

売れない

名義が亡くなった方のままだと、買主へ名義を移せないため、引き渡しができません。売買契約まで進めても、決済の段階で止まってしまいます。売却の全体の流れは相続した実家を売る手順にまとめています。「買いたい」という方が現れてから相続登記を始めると、戸籍集めと遺産分割で数か月かかり、話が流れることがあります。

貸せない・担保に入れられない

賃貸に出す場合も、リフォーム資金を借りるために抵当権(借入の担保として不動産に付ける権利)を設定する場合も、名義が現在の所有者になっていることが前提です。

費用が増える

相続登記には登録免許税がかかります。相続人が増えれば、集める戸籍の通数が増え、その実費も増えます。司法書士に依頼する場合の報酬も、相続人の数や不動産の数で変わります。

固定資産税は待ってくれない

登記をしていなくても、固定資産税は課されます。空き家であっても同じです。町田市・相模原市のどちらでも、納税通知書は届き続けます。

家計から見た「早く登記する」理由

相続登記は、それ自体がお金を生む手続きではありません。しかし、遅らせることで増えやすいコストがあります。戸籍の実費、司法書士報酬、空き家の維持費、固定資産税。売ると決めているなら、登記を先に済ませておくほうが、手元に残るお金を減らさずに済む場合があります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

「売るかどうか決まっていないから、登記も後回し」という方が多いのですが、順番が逆です。登記を済ませておけば、売る・貸す・持ち続けるのどれを選んでも動けます。決めるための準備が登記だとお考えください。

よくある勘違い・向かない人|過料の注意点と次に確かめること

最後に、ご相談でよく出る勘違いをまとめます。

よくある4つの勘違い

1.「遺産分割が決まっていないから、期限は関係ない」→ 分割が決まっていなくても、3年の期限は進んでいます

2.「相続人申告登記をすれば、もう何もしなくていい」→ 売る・貸す・担保に入れるには、別途の相続登記が必要です

3.「固定資産税を払っているから、名義は自分になっている」→ 納税と登記は別です

4.「実家が遠方だから、地元の法務局でしかできない」→ 申請は郵送やオンラインでもできます

この記事が向かない方

  • すでに相続登記が終わっている方(登記事項証明書で名義を確かめれば十分です)
  • 相続人の範囲や遺言の有効性で争いがある方(この記事の範囲を超えます。弁護士へご相談ください)
  • 不動産を持たない相続の方(この義務化の対象は不動産の登記です)

期限を過ぎてしまった場合は

期限を過ぎたからといって、登記ができなくなるわけではありません。気づいた時点で申請してください。過料についても、法務省のQ&Aによれば、登記官が催告書を送り、それでも登記されない場合に裁判所へ通知するという段階を踏みます。放置を続けることがいちばん不利になりますので、遅れていても手続きを進めてください。

次に確かめること

まず、登記事項証明書(登記簿の写し)を取って、今の名義を見てください。これは誰でも取れます。法務局の窓口のほか、オンラインでも請求できます。手数料は請求の方法で変わりますので、法務局の案内でご確認ください。名義が亡くなった方のままであれば、この記事の対象です。

そのうえで、ご自身の期限がいつなのかを、先ほどの表に当てはめてみてください。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

登記事項証明書は、全国どこの法務局でも取れます。実家が遠方でも、お近くの法務局で大丈夫です。「関係あるかどうか分からない」という段階の方こそ、まずこの1枚を取ってみてください。

よくある質問

Q. 期限に間に合わないと、必ず過料が科されますか?

A. そうとは限りません。法務省のQ&Aでは、正当な理由なく怠った場合に過料の対象になるとされており、手続きも段階を踏みます。登記官が違反を把握すると催告書を送り、それでも期限内に登記されない場合に、登記官が裁判所に通知し、裁判所が過料を科す旨の裁判を行う流れです。いきなり請求書が届くわけではありません。

Q. 「正当な理由」とは、どんな場合ですか?

A. 法務省のQ&Aでは、相続人が極めて多数で戸籍書類の収集に多くの時間を要する場合、遺言の有効性や遺産の範囲が争われている場合、義務を負う方が重病などの重大な事情にある場合、配偶者からの暴力の被害者などで生命・心身に危害が及ぶおそれがある場合、経済的に困窮して費用を負担する能力がない場合が挙げられています。自己判断せず、法務局にご相談ください。

Q. 相続人が10人以上いて、連絡も取れません。どうすればよいですか?

A. このような場合こそ、相続人申告登記が使えます。特定の相続人が単独で申し出できるため、全員の足並みが揃わなくても、ご自身の義務は果たせます。そのうえで、遺産分割の話し合いを進めてください。相続人の探索や交渉が必要な場合は、司法書士・弁護士へのご相談をおすすめします。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

A. 相続登記には登録免許税がかかり、司法書士に依頼する場合は別に報酬がかかります。金額は不動産の評価額・件数・相続人の数で変わるため、この記事では具体的な額は書きません。登録免許税の税率は国税庁と法務局が公表しています。ご自身の場合の目安は、法務局の相談窓口か司法書士にお尋ねください。なお、相続人申告登記には登録免許税がかかりません。

Q. 住所が変わったときの登記も義務ですか?

A. はい。住所等変更登記についても、令和8年(2026年)4月1日から義務化されています。法務省によれば、住所や氏名・名称に変更があったときは、変更日から2年以内に変更の登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象になります。施行日より前に変更があった場合は、令和10年(2028年)3月31日までとされています。相続登記とあわせて確かめておくと安心です。

まとめ|まず登記簿を取り、自分の期限を確かめる

  1. 相続登記の申請は2024年(令和6年)4月1日から義務になり、施行日より前の相続にもさかのぼって適用される
  2. 期限は「相続で取得したことを知った日から3年以内」。施行日より前に知っていた不動産は2027年(令和9年)3月31日まで
  3. 正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象。ただし催告 → 裁判所への通知 → 裁判という段階を踏む
  4. すぐに登記できないときは、単独で申し出でき登録免許税もかからない相続人申告登記が使える。ただし売却や担保設定には別途の相続登記が必要
  5. 放置して困るのは過料よりも「売れない・貸せない・費用が増える」こと。まず登記事項証明書で今の名義を確かめる

期限が近い方、名義が誰のままか分からない方へ

「うちの実家、名義がどうなっているか分からない」という段階でも構いません。登記簿の見方から、何を誰に頼めばよいかの整理まで、町田で不動産の仕事を20年以上、宅地建物取引士とAFPの両方の立場でご相談を受けてきました。売る・貸す・持ち続けるのどれを選ぶにしても、登記は先に済ませておくほうが動きやすくなります。匿名でのご相談も承ります。

🙌 相談は無料です。LINEからのご相談も歓迎です。

LINEで相談