ここからは、共働き夫婦の予算を数字で考えてみます。金融機関の審査で決まる「借りられる額」と、家計から見た「返せる額」は別のものです。
借りられる額の目安(返済負担率)
【フラット35】(住宅金融支援機構と民間金融機関が提供する全期間固定金利の住宅ローン)では、年収に占める年間の返済額の割合(総返済負担率)の基準を、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下としています(同機構「ご利用条件」、2026年9月23日確認)。住宅ローン以外に車のローンなどがあれば、その返済も含めて計算します。この35%は審査で認められる上限であって、家計の目安ではありません。
次の表は、借入金利を年3.46%(【フラット35】借入期間21〜35年・融資率〈物件価格に対する借入額の割合〉9割以下で、取扱金融機関の最も多い金利。2026年9月、住宅金融支援機構)、35年・元利均等返済(毎月の返済額が一定になる返し方)・ボーナス返済なしとして、この記事で計算した目安です。実際の審査は、金融機関ごとの審査用の金利(審査のときに使う、実際の金利より高めの金利)やほかの借入れで変わります。
年3.46%・35年で借りた場合の月々の返済額(試算)
| 借入額 |
月々の返済額(目安) |
| 3,000万円 |
約12.3万円 |
| 3,500万円 |
約14.4万円 |
| 4,000万円 |
約16.4万円 |
| 4,500万円 |
約18.5万円 |
| 5,000万円 |
約20.5万円 |
たとえば、夫の年収500万円・妻の年収400万円の夫婦(説明のための仮の数字です)が収入を合わせると、年収は900万円です。総返済負担率35%を当てはめると、年間の返済は315万円(月約26万円)まで、借入額にすると6,000万円を超える計算になります。一方、夫1人の年収500万円で同じ計算をすると、借入額は約3,500万円です。
これが「借りられる額」です。ここで立ち止まって考えてほしいのは、収入が減る側が育休や時短に入った年も、月26万円を返せるかということです。
返せる額の出し方
「返せる額」は、次の形で計算します。
「返せる額」の計算の形(月あたり)
返済に回せる額 = 2人の手取り月収 −(生活費+教育費+毎月の貯蓄)−(管理費・修繕積立金+固定資産税÷12+火災保険料÷12+車の費用)
- まず、今の2人の手取りで上の計算をする
- 次に、片方の収入が減った期間(育休・時短)の手取りで、同じ計算をもう一度する
- 2の結果が1の結果より小さいなら、その差 ×「収入が減る月数」が、その期間に貯蓄から取り崩す額になる。その額を手元の貯蓄でまかなえるかを確かめる
説明のための仮の数字で当てはめてみます(割合の目安を示すものではなく、式の使い方の例です)。2人の手取り月収が55万円、生活費・教育費・貯蓄が32万円、管理費や固定資産税の月割りなど住まいの費用が5万円なら、返済に回せる額は55万円−32万円−5万円=18万円です。片方が育休に入り、給付を含めた2人の手取りが45万円になる月は、45万円−32万円−5万円=8万円で、18万円との差は10万円です。育休が12か月なら、10万円×12か月=120万円を貯蓄から取り崩す計算になります。
まかなえない場合は、借入額を下げる、頭金を増やす、繰上げ返済〈予定より早く元金の一部を返すこと〉の予定を後ろにずらす、といった調整を考えます。買う時期を遅らせる、今は買わないと決めることも、立派な選択肢です。
予算の上限は、最後に次の1行でまとめます。
物件価格の上限の出し方
返せる月額 → 上の表で借入額に置きかえる → +頭金 −諸費用 = 物件価格の上限
💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス
予算は「今の手取り」と「収入が減った年の手取り」の2通りで出してみてください。取り崩す額まで計算して、貯蓄でまかなえる範囲が、無理のない予算の目安になります。