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終活・相続

リースバックとリバースモーゲージの違い|住み続けて老後資金をつくる

2026年10月12日

「年金だけでは足りない。でも、この家からは離れたくない」
「家を担保にお金を借りるリバースモーゲージと、リースバックの違いを知りたい」

住み慣れた家を手放さずに、老後の資金をつくれないか。そう考える方は少なくないと思います。

先に、はっきり申し上げます。どちらの仕組みも、条件が合う人は限られます。 そして、リースバックについては、国民生活センターが2026年8月に注意喚起を公表しています。

当社では、メリットより先にデメリットとリスクをお伝えするようにしています。この記事も、その順番で書きます。読んだうえで「自分には合わない」と分かることにも、意味があります。

なお、売って住み替える場合の資金計画は50代・60代の住み替えにまとめていますので、そちらもあわせてご覧ください。

細井誠

✍️ この記事を書いた人

FPマイスターホーム代表 細井 誠(宅地建物取引士・AFP)

相模原に暮らして40年以上、町田で不動産の仕事をして20年以上。これまで1,000件以上のご相談をお受けしてきました。「買える家」ではなく、「無理なく、幸せに暮らせる家」をご提案します。趣味はトライアスロン。お客様が納得されるまで、最後までお付き合いします。プロフィール

目次

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この記事でわかること

結論:リースバックとリバースモーゲージの違いは「売るか借りるか」

いちばん大きな違いはここです。

2つの仕組みの根本的な違い

リースバック リバースモーゲージ
何をするか 家を売る 家を担保に借りる
家の名義 買主(不動産会社など)に移る 自分のまま
住み続け方 賃貸借契約を結んで、家賃を払う そのまま住む
毎月の負担 家賃 利息(商品による)
最後にどうなるか 契約が終われば退去 亡くなった後に家を売って返す

どちらも「条件が合う人は限られる」

  • リースバックは、売却価格が相場より低くなることがあり、家賃を払い続けられるかが問われます
  • リバースモーゲージは、生活資金には使えない商品があります。年齢や担保評価の条件もあります

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

お得・損で選ぶものではありません。自分の事情に当てはまるかどうかで決まります。当てはまらなければ、どちらも選ばないという結論になります。

リースバックの仕組み|売って、賃料を払って住み続ける

まず仕組みです。

流れ

  1. 自宅を不動産会社などに売る
  2. 売却代金を受け取る
  3. 買主と賃貸借契約を結ぶ
  4. 家賃を払って、そのまま住み続ける

引っ越さずにまとまったお金が入る。これが最大の利点です。

国土交通省がガイドブックを出しています

国土交通省は「住宅のリースバックに関するガイドブック」を公表しています。制度として禁じられているものではなく、使い方と契約内容次第という位置づけです。

国民生活センターの注意喚起

国民生活センターは2026年8月4日に、自宅のリースバックのトラブルについて注意喚起を公表しています。紹介されている事例は次のとおりです。

国民生活センターが公表したトラブル事例(2026年8月4日)

  • 家賃の値上げ:築40年のマンションを約1,000万円で売却し、月7万円で借り戻した70歳代の女性。6年後、買主から月約10万円への値上げを提案され、応じなければ退去するよう求められた
  • リフォーム契約との抱き合わせ:床のリフォーム代を払えなくなった70歳代の女性が不動産会社を紹介され、自宅を1,100万円で売却してリースバック。同じ日に別の業者から450万円のキッチンリフォームを契約させられた。売却価格は約3年分の居住費にしかならない計算
  • 買い戻しの価格:マンションを200万円で売却し、2年の定期借家契約で月2万円の家賃を払っていた70歳代の男性。買い戻しを申し出たところ、売却額の5倍にあたる1,000万円を提示された

自宅の売却に、クーリング・オフは使えません

国民生活センターは、不動産業者に自宅を売る場合、クーリング・オフは適用されないとしています。解除するには手付金の倍額を返す必要があり、期限を過ぎると契約上の違約金がかかるのが通常です。

その場で決めずに、持ち帰って考えてください。 急かされたら、それ自体が注意すべき兆候です。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

国民生活センターは、相談先として消費者ホットライン 188(いやや!) を案内しています。契約を迷っている段階でも相談できます。覚えておいてください。

リバースモーゲージの仕組み|家を担保に借りて、最後に家で返す

もう一方の仕組みです。

流れ

  1. 自宅を担保に入れる(名義は自分のまま)
  2. お金を借りる
  3. 生きている間は、毎月利息だけを払う(商品による)
  4. 亡くなった後、相続人が一括返済するか、自宅を売って返す

住宅金融支援機構の【リ・バース60】

公的な仕組みに近いものとして、住宅金融支援機構が住宅融資保険を付ける【リ・バース60】があります。機構と提携する民間金融機関が提供する、60歳以上の方向けの住宅ローンです。

機構の公表による要点です。

【リ・バース60】の要点(住宅金融支援機構の公表による)

項目 内容
利用できる方 満60歳以上(満50歳以上満60歳未満も利用可。ただし融資限度額が異なる)
毎月の支払 利息のみ
元金 契約者が亡くなった後、相続人が一括返済するか、担保の住宅と土地を売却して返済
融資限度額 担保評価額の50%または60%(年齢による。満50歳以上満60歳未満は30%)
資金使途 住宅の建設・購入、リフォーム、借換え、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金など
申込み先 取扱金融機関(機構では受け付けていない)

★【リ・バース60】は生活資金には使えません

機構の公表では、生活資金には利用できないとされています。投資用物件の取得資金にも使えません。

「年金の不足を補いたい」という目的では、【リ・バース60】は使えないということです。誤解されやすい点ですので、先にお伝えします。

生活資金に充てられる商品があるかどうかは、商品ごとに違います

リバースモーゲージという名前の商品は、【リ・バース60】だけではありません。取扱金融機関が独自に扱っているものや、社会福祉協議会が行っている不動産担保型の生活資金の貸付もあります。

資金の使いみちは商品ごとに違います。 生活資金に充てたいのであれば、「生活資金に使えるか」を最初に確かめてください。ここで条件が合わなければ、ほかの条件を調べる必要はありません。

当社は金融機関ではありませんので、個別の商品の条件をお約束することはできません。取扱金融機関と、お住まいの市区町村の社会福祉協議会にお尋ねください。

ノンリコース型とリコース型

亡くなった後、自宅を売っても返しきれない債務が残った場合の扱いが2種類あります。

  • ノンリコース型 — 相続人は残った債務を返済する必要がない
  • リコース型 — 相続人が残った債務を返済する必要がある

機構の公表では、ノンリコース型はリコース型に比べて金利が高くなる場合があるとされています。

総返済額は多くなります

機構は、一般の住宅ローンと【リ・バース60】で返済期間と金利が同じ場合、総返済額は【リ・バース60】のほうが多くなると公表しています。元金が減らないまま利息を払い続けるためです。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

「毎月の支払が軽い」ことと「総額が安い」ことは別です。機構自身がそう公表しています。月々の負担を下げる代わりに、総額は増える。この性質を理解したうえで選ぶ仕組みです。

リースバックとリバースモーゲージの比較|所有権・毎月の負担・相続

整理します。

リースバックとリバースモーゲージの比較

比べる点 リースバック リバースモーゲージ
家の名義 買主に移る 自分のまま
入るお金 売却代金(まとまって) 借入金(限度額の範囲で)
毎月の負担 家賃 利息
資金の使いみち 制限なし(売却代金なので) 商品による(【リ・バース60】は生活資金に使えない)
住み続けられる期間 賃貸借契約による。更新を断られることがある 原則として亡くなるまで
固定資産税 かからない(名義が移るため) かかる(名義は自分のまま)
相続への影響 家は残らない。現金が残る(使っていれば残らない) 家を売って返済。ノンリコース型なら残債は承継しない
年齢の条件 商品による 【リ・バース60】は原則60歳以上

大きな分かれ目は2つ

  1. お金の使いみちに制限があるか — 生活資金に充てたいなら、【リ・バース60】は使えません
  2. 家を残したいか — リースバックでは家は残りません

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

「子に家を残したい」のであれば、リースバックは選べません。「生活費の補填に使いたい」のであれば、【リ・バース60】は使えません。目的から逆算すると、選べるものが絞られます。

先に知っておきたい注意点とリスク|リースバックとリバースモーゲージ

メリットの前に、リスクをまとめます。

リースバックの注意点

国民生活センターと国土交通省の公表から、押さえておきたい点です。

リースバックで確かめること

  • 売却価格が相場より低くなることがある
  • 家賃が相場より高く設定されることがある
  • 長く住むと、支払う家賃の総額が売却価格を超えることがある
  • 更新や再契約を断られることがある(定期借家契約の場合はとくに)
  • 買い戻しの条件と価格を、契約前に確かめる(広告に「買い戻せる」とあっても、条件次第)
  • 修繕費の負担が借主側とされていることがある
  • クーリング・オフは使えない

リバースモーゲージの注意点

リバースモーゲージで確かめること

  • 資金使途の制限(【リ・バース60】は生活資金に使えない)
  • 担保評価が下がると、融資額の見直しがあり得る
  • 金利が上がると、毎月の利息の負担が増える(変動金利の場合)
  • 元金が減らないため、総返済額は多くなる
  • 相続人の同意や、推定相続人への説明が求められることがある
  • ノンリコース型は金利が高くなる場合がある

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

どちらにも共通するのは、契約書を読まないと判断できないということです。商品名で決まるものではありません。契約書と重要事項の説明を、ご家族と一緒に読んでください。

自宅を売却して住み替える場合と比べる|老後資金はどこから出すか

3つ目の選択肢として、売って住み替えるがあります。

3つの選択肢

リースバック リバースモーゲージ 売って住み替え
引っ越し 不要 不要 必要
入るお金 売却代金 借入金 売却代金
毎月の負担 家賃 利息 新居の費用(購入なら返済、賃貸なら家賃)
家は残るか 残らない 売って返済 残らない
住居費の総額 家賃を払い続ける 利息を払い続ける 新居の条件次第で下げられる

住み替えは、住居費そのものを下げられます

広い戸建てから、小さなマンションや賃貸へ移れば、固定費が下がります。リースバックやリバースモーゲージは、今の家に住み続けることが前提なので、住居費は下がりません。

引っ越しの負担と、天秤にかけてください

体力、ご近所との関係、通院先、荷物の整理。引っ越しには負担があります。それでも、住居費そのものを下げられるのは、住み替えの場合です。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

私は、すぐに売る・買うをお勧めしません。「今は動かない」も立派な選択肢です。 3つを並べたうえで、どれも選ばないという結論でも構いません。大事なのは、知らないまま一つに決めてしまわないことです。

FPの視点|老後資金は「取り崩しの順番」で考える

FPの立場からお伝えしたいのは、家を資金源にするのは最後ということです。

取り崩しの順番

一般的な順番

1. 預貯金 — いちばん自由に使える

2. 保険の解約返戻金・年金保険 — 条件を確かめてから

3. 有価証券 — 相場を見ながら

4. 家 — 最後。元に戻せない

家は、一度手放すと戻せません。リースバックなら買い戻しに高額を求められることがありますし、リバースモーゲージで借りた分は返す必要があります。

先に出す数字

検討の前に出しておく3つ

1. 毎月いくら足りないのか — 年金と支出の差額

2. その不足が、いつまで続くのか — 期間の見込み

3. 家以外に使える資産はいくらあるか — 預貯金・保険・有価証券

この3つが出ると、「家に手をつける必要があるのか」がはっきりします。毎月3万円の不足で、預貯金が1,000万円あるなら、当面は家以外で足りる計算になります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

「毎月いくら足りないのか」が決まらないまま商品を比べても、答えは出ません。金額が先、商品は後です。

リースバックが向かない人・よくある失敗|次に確かめること

こういう方には、おすすめしません

リースバック・リバースモーゲージが向かない方

  • 家賃や利息を払い続けられるか不安 → 先に、家賃の総額と売却価格を比べてください
  • 借金の返済や生活費の工面が目的 → 国民生活センターも、その目的での利用に注意を呼びかけています
  • 家を子に残したい → リースバックでは残りません
  • 判断能力に不安がある → ご家族と一緒に、慎重に進めてください
  • その場で契約を迫られている → その場で決めないでください。急かされたときは、一度持ち帰ることです

よくある失敗

  1. 契約を急いだ → クーリング・オフが使えません。その場で決めないでください
  2. 家族に相談しなかった → 国民生活センターも、家族など信頼できる人への相談を勧めています
  3. 買い戻しの条件を確かめなかった → 売却額の数倍を提示された事例があります
  4. リフォーム契約とセットで勧められた → 国民生活センターが注意喚起している手口です
  5. 「生活費に使える」と思っていた → 【リ・バース60】は生活資金に使えません

急がなくて大丈夫です

焦って決める必要はありません。納得いくまで、何度でもお付き合いします。急かしてくる相手がいたら、そこで一度止まってください。 契約の前に、持ち帰って考える時間を取れるかどうかを確かめてください。

次に確かめること

まず、毎月いくら足りないのかを紙に書いてください。年金の額と、毎月の支出。この差額が出発点です。

そのうえで、預貯金・保険・有価証券で、あと何年もつかを計算してください。家に手をつけるかどうかは、そのあとの話です。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

不安があれば、契約の前に消費者ホットライン 188 に相談できます。国民生活センターが案内している窓口です。不動産会社に相談する前でも、後でも構いません。

よくある質問

Q. 家族に相談せずに契約できますか?

A. 名義がご自身であれば、法律上は契約できます。ただし、おすすめしません。国民生活センターは、リースバックについて家族など信頼できる人に相談してから決めるよう呼びかけています。契約当事者が高齢の方に集中していること、判断能力が低下した方が相場より大幅に安く売却させられた事例があることも報告されています。ご家族に知られたくない事情があるとしても、第三者に一度話を聞いてもらってください。消費者ホットライン188でも相談できます。

Q. リースバックの家賃は、いくらくらいになりますか?

A. 事業者と物件で変わるため、一律の目安はありません。注意していただきたいのは、相場の家賃より高く設定されることがある点です。国民生活センターが公表した事例では、約1,000万円で売却して月7万円で借り、6年後に月約10万円への値上げを提案されたケースが紹介されています。売却価格と家賃の両方を、近隣の相場と比べてください。長く住むと、支払う家賃の総額が売却価格を超えることもあります。

Q. リースバックした家を、あとで買い戻せますか?

A. 契約の内容によります。買い戻せる条件と価格を、契約前に書面で確かめてください。国土交通省のガイドブックでも、買い戻せる条件や価格を確認しなかったためにトラブルになった例が紹介されています。国民生活センターが公表した事例では、200万円で売却した物件の買い戻しに、5倍の1,000万円を提示されたケースがあります。広告に「買い戻せる」とあっても、条件次第です。

Q. 相続人がいる場合、どうなりますか?

A. リースバックでは家の名義が買主に移るため、家は相続財産として残りません。売却代金が残っていれば、それが相続の対象です。リバースモーゲージでは、亡くなった後に相続人が一括返済するか、担保の住宅と土地を売却して返済することになります。【リ・バース60】のノンリコース型であれば、売却しても返しきれない債務を相続人が返済する必要はないとされています。いずれにしても、推定相続人には事前に説明しておいてください。

Q. どこに相談すればよいですか?

A. 商品そのものについては、リースバックなら不動産会社、リバースモーゲージなら取扱金融機関が窓口です。【リ・バース60】は機構では申込みを受け付けておらず、取扱金融機関への申込みになります。契約内容に不安がある場合や、強く勧められて困っている場合は、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターに相談できます。当社では、売る・住み替える・持ち続けるを含めて、どれが合うかの整理からお手伝いしています。匿名でのご相談も承ります。

まとめ|まず不足額を出す。家に手をつけるのは最後

  1. リースバックは「売る」、リバースモーゲージは「借りる」。名義が移るかどうかが根本的な違い
  2. 国民生活センターは2026年8月4日に、リースバックのトラブルについて注意喚起を公表。家賃の値上げ、買い戻し価格、リフォーム契約との抱き合わせの事例がある
  3. 自宅を不動産業者に売る場合、クーリング・オフは使えない。その場で契約しない
  4. 【リ・バース60】は満60歳以上向けで、毎月の支払は利息のみ。元金は亡くなった後に返済。生活資金には使えない
  5. 機構の公表では、返済期間と金利が同じなら総返済額は【リ・バース60】のほうが多くなる
  6. 住居費そのものを下げられるのは、売って住み替える場合
  7. 先に「毎月いくら足りないか」を出す。家に手をつけるのは、取り崩しの順番で最後

※この記事の制度・数値は、下記の出典を 2026年10月9日 に確認したものです。制度は改正されることがありますので、実際の手続きの前に最新の公表をご確認ください。

「どちらがよいか」の前に、不足額から一緒に出します

毎月いくら足りないのか。その不足はいつまで続くのか。家以外に使える資産はいくらあるのか。この3つが出ると、家に手をつける必要があるかどうかが見えてきます。そのうえで、リースバック・リバースモーゲージ・住み替え・今は動かない、の4つを並べて比べます。当社は、メリットより先にデメリットとリスクをお伝えします。急かすことはしません。焦って決める必要はありません。納得いくまで、何度でもお付き合いします。匿名でのご相談も承ります。

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