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住み替え・買い替え

50代・60代の住み替え|戸建てを売って駅近マンションへ移る資金計画

2026年10月5日

「子どもが独立して、4LDKの戸建てを夫婦2人で持て余している」
「駅から遠くて、車に乗れなくなったら困る。元気なうちに駅近へ移りたい」

町田・相模原で、50代・60代のご夫婦からいただくご相談です。気持ちは固まっている。でも、お金のところで止まってしまう。そういう方がとても多いのです。

結論から申し上げます。最初に決めるのは、物件ではありません。「いくらで売れれば成立するか」という売却の下限価格です。 ここが決まらないまま物件を見始めると、気に入った家が見つかったときに判断できず、焦って安く売ることになりがちです。

この記事では、順番を間違えないための資金計画を、売却・ローン・固定費・税の順に整理します。数字は前提を明記して示し、税の要件は国税庁の公表で確かめたものだけを書きます。

細井誠

✍️ この記事を書いた人

FPマイスターホーム代表 細井 誠(宅地建物取引士・AFP)

相模原に暮らして40年以上、町田で不動産の仕事をして20年以上。これまで1,000件以上のご相談をお受けしてきました。「買える家」ではなく、「無理なく、幸せに暮らせる家」をご提案します。趣味はトライアスロン。お客様が納得されるまで、最後までお付き合いします。プロフィール

目次

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この記事でわかること

結論:50代の住み替えでマンションを探す前に「売却の下限価格」を決める

住み替えは、売ると買うが同時に動きます。だから難しいのです。なお、売却そのものの手続き(査定・媒介契約・諸費用の一覧)は不動産売却・買い替え完全ガイドにまとめています。この記事は、50代・60代が「売って移る」ときの判断の順番に絞ります。

住み替えで決める順番

順番 決めること 決め方
1 今の家がいくらで売れそうか 複数社の査定、近隣の成約事例
2 住宅ローンの残債はいくらか 返済予定表、金融機関の残高証明
3 手元にいくら残るか 売却価格 − 残債 − 諸費用
4 新居にいくら出せるか 手残り + 預貯金 + 借りられる額
5 売却の下限価格 4が成立するために最低限必要な売却価格
6 物件を探す ここでようやく

5番の「下限価格」が決まっていると、買い手から価格交渉が入ったときに、その場で判断できます。決まっていないと、「もう少し待てば高く売れるかも」「でもこの家を逃したくない」で、判断が揺れます。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

私がご相談の最初に伺うのは「いくらで売りたいですか」ではなく、「いくらで売れなければ、この住み替えは見送りますか」です。厳しい質問に聞こえるかもしれませんが、ここが決まっている方は、最後まで落ち着いて進められます。

住み替えは売り先行と買い先行のどちらか|50代・60代は売り先行が選びやすい

住み替えには2つの進め方があります。

売り先行と買い先行

売り先行 買い先行
進め方 今の家を売ってから、新居を買う 新居を買ってから、今の家を売る
お金の確実性 高い(手残りが確定してから買える) 低い(売却価格が未確定のまま買う)
仮住まい 必要になることがある 不要
物件選び 急かされやすい じっくり選べる
向く方 資金に余裕が少ない方、確実に進めたい方 預貯金に余裕がある方、条件を譲れない方

50代・60代には、売り先行をおすすめすることが多い

理由は2つあります。

1つは、手残りが確定してから新居を決められること。退職後の生活資金を削らずに済みます。

もう1つは、二重ローンを避けられることです。買い先行で、今の家のローンが残ったまま新居のローンを組むと、一時的に2本の返済が重なります。収入が上がっていく時期ならまだしも、50代・60代でこの状態を作るのは、家計への負担が大きくなります。

仮住まいの費用を忘れないでください

売り先行の場合、引き渡しから新居の入居まで期間が空くと、仮住まいが必要になります。家賃のほか、引っ越しが2回分かかります。この費用を最初から見込んでおくと、後で慌てません。売買契約の際に引き渡しの時期を調整できることもありますので、不動産会社に相談してください。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

どちらが正しいということはありません。買い先行を選ぶ場合は、「今の家が想定より下振れして売れたときでも、資金計画が成立するか」を先に確かめてください。ここに答えられるなら、買い先行でも進められます。

手元に残るお金の計算|売却価格−残債−諸費用

いちばん誤解が多いのがここです。売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。

売却時に出ていくお金(主なもの)

費目 補足
住宅ローンの残債 抵当権(借入の担保として不動産に付く権利)を抹消しないと引き渡せません
仲介手数料 売買価格に応じた額
印紙税 売買契約書に貼付
抵当権抹消の登記費用 司法書士報酬を含む
測量費用 境界が確定していない場合に必要になることがある
残置物の処分費用 家具・家電を置いていく場合
譲渡所得税・住民税 利益が出て、特例が使えない場合

手残りを計算するとこうなる

手残りの計算(前提を置いた例。実際の事例ではありません)

売却価格 3,500万円

− ローン残債 800万円

− 諸費用(仲介手数料・印紙税・登記費用など) 約150万円

= 手元に残るのは約2,550万円

この2,550万円に預貯金を足したものが、新居に出せる自己資金です。ここから新居の諸費用(登記費用、仲介手数料、火災保険、引っ越し費用など)も出ていきます。

※上記は考え方を示すための例です。諸費用の額は物件価格や状況で変わります。

残債の確認は「返済予定表」で

おおよその記憶ではなく、返済予定表か、金融機関に依頼する残高証明で確かめてください。 数十万円のずれが、住み替えの成立・不成立を分けることがあります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

まず、この引き算を紙に書き出してみてください。思っていたより残らない、という結果になることがあります。そこから話を始めるほうが、後で困りません。

60代の住宅ローンは「年数」で決まる|完済年齢と返済負担率

新居でローンを組む場合、50代・60代では借りられる年数が最大の制約になります。

住宅金融支援機構の【フラット35】のご利用条件(2026年4月1日現在)では、借入期間は15年以上で、かつ「80歳−申込時の年齢」または35年のいずれか短い年数とされています。

【フラット35】で組める借入期間の目安(2026年4月1日現在の条件から)

申込時の年齢 80歳−年齢 組める期間(35年との短いほう)
50歳 30年 30年
55歳 25年 25年
60歳 20年 20年
65歳 15年 15年

※申込本人が満60歳以上の場合は、借入期間は10年以上とされています。申込時の年齢は満70歳未満(親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上も対象)。

期間が短いと、毎月の返済額は上がります

同じ2,000万円を借りても、35年で組めるのと20年でしか組めないのとでは、毎月の返済額が大きく変わります。年齢は、借入額よりも先に効いてくる制約です。

総返済負担率は上限であって、返せる額ではない

【フラット35】では、年収に対する年間の合計返済額の割合(総返済負担率)が、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下とされています。これは上限であって、おすすめの水準ではありません。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

50代・60代の住み替えでは、「借りられる額」より「退職後も払い続けられるか」が問題になります。退職後の収入で返済が続けられるか。ここを先に確かめてください。ローンをできるだけ短くして、退職までに完済する設計にする、という選び方もあります。

マンションの管理費・修繕積立金という、老後の新しい固定費

戸建てからマンションへ移るとき、見落とされやすいのがここです。

戸建てには管理費も修繕積立金もありません。その代わり、修繕が必要になったときに自分でまとまった費用を用意します。マンションは、これを毎月の固定費として払います。広い家から狭い家へ移るダウンサイジングは、光熱費や掃除の手間は減りますが、固定費そのものが必ず減るとは限らない、ということです。

戸建てとマンションで変わる費用

費目 戸建て マンション
管理費 なし(自分で管理) 毎月かかる
修繕積立金 なし(必要時に自分で支出) 毎月かかる。将来上がることがある
駐車場代 敷地内なら不要 別途かかることが多い
固定資産税 かかる かかる

修繕積立金は、将来上がることがあります

築年数が経つにつれ、大規模修繕の費用は増えます。購入前に、長期修繕計画(将来の修繕の予定と費用をまとめた計画)と、修繕積立金の改定の履歴を確認してください。管理組合の総会議事録(住民の決議の記録)を見せてもらえることもあります。

「ローン返済額が下がったから楽になる」とは限りません

戸建てからマンションに移って月々の返済額が下がっても、管理費・修繕積立金・駐車場代を足すと、住居費の合計はあまり変わらない、ということがよくあります。返済額ではなく、住居費の合計で比べてください。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

おすすめしたいのは、「今の住居費」と「移った後の住居費」を、同じ項目で並べて書き出すことです。返済額、管理費、修繕積立金、駐車場、固定資産税、保険、修繕の積み立て。これを並べると、本当に軽くなるのかが見えます。

住み替えの税は3,000万円特別控除と買換え特例のどちらか一方|住宅ローン控除との関係も先に

住み替えでは、売却益に税金がかかる場合があります。ただし、条件を満たせば負担を抑えられる特例があります。ここでは資金計画の順番に効く部分だけを書きます。要件の詳細と使い方は売却時の税金|3,000万円控除の使い方にまとめていますので、そちらをご覧ください。以下はいずれも国税庁の公表による内容です(令和8年4月1日現在の法令等)。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。主な要件は次のとおりです。

  • 現に住んでいる家屋、または以前住んでいた家屋であること。以前住んでいた場合は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと
  • 前年・前々年にこの特例の適用を受けていないこと

なお、別荘など趣味・娯楽・保養を目的とする家屋や、この特例を受けるためだけに入居した家屋は対象外とされています。

特定の居住用財産の買換えの特例

売却益への課税を将来に繰り延べる制度です。非課税になるわけではなく、買い換えた家を将来売るときに、繰り延べた分と新たな譲渡益が合算されて課税されます。主な要件は次のとおりです。

  • 売却する家屋に10年以上住んでいたこと、かつ売却した年の1月1日時点で所有期間が10年超であること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 買い換える住宅は床面積50㎡以上、土地500㎡以下。耐震基準や省エネ基準への対応が条件
  • 売却は令和9年12月31日まで、買換えは売却した年の前年から翌年までの3年間

2つの特例は併用できません

3,000万円の特別控除と買換えの特例は、どちらか一方です。

住宅ローン控除との関係にご注意ください

国税庁は、入居した年、その前年または前々年に、このマイホームを売ったときの特例(3,000万円の特別控除など)の適用を受けた場合には、住宅ローン控除の適用を受けることはできないとしています。新居でローンを組む予定の方は、どちらが有利かを試算してから決める必要があります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

税の要件は細かく、ご自身の状況で結論が変わります。この記事は「こういう特例があること」を知っていただくためのものです。実際の適用は、税務署か税理士にご確認ください。 当社では、必要に応じて税理士をご紹介しています。

FPの視点|老後資金から住み替え後の住居費を逆算する

ここが、FPとしていちばんお伝えしたいところです。

50代・60代の住み替えは、20代・30代の住宅購入とは考え方が違います。これから収入が増える前提が立たないからです。

逆算の手順

  1. 退職後の毎月の収入の見込みを立てる(年金、退職後の勤労収入、私的年金など)
  2. そこから、住居費以外の生活費を引く
  3. 残った額が、退職後に住居費に回せる上限
  4. その中に、返済額・管理費・修繕積立金・固定資産税・保険が収まるか

細井のひとこと

相模原で一番「都会的」なエリア。町田駅も隣の駅で、買い物には全く困りません。

駅近へ移ることを考えるなら、こうしたエリアの性格も、資金計画と合わせて見てください。

収まらない場合の選択肢

  • 借入期間を短くし、退職までに完済する設計にする
  • 頭金を増やして借入額を減らす
  • 新居の価格を下げる(駅からの距離、面積、築年数を見直す)
  • 今は動かず、もう少し先に検討する

「今は動かない」も、ひとつの選択です

私は、すぐに売る・買うをお勧めしません。今は動かないという選択肢も、必ず並べてお見せします。体力のあるうちに移りたいという気持ちは分かります。ただ、資金計画が成立しないまま動くと、退職後に住居費の負担だけが残ります。あと3年働いて頭金を厚くする、という判断も立派な選択です。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

老後資金の取り崩しと住居費の関係は、40代後半・50代の住宅ローンでも触れています。あわせてご覧ください。

向かない人・老後の住み替えでよくある失敗|次に確かめること

この進め方が向かない方

  • 今の家のローン残債が、想定売却価格を上回っている方。この場合でも、残債を上乗せして借りる住み替えローンという方法があります。条件が厳しくなるため、まず金融機関と当社にご相談ください
  • ご家族の間で、住み替えるかどうかの合意ができていない方
  • 相続した家で、名義がご自身になっていない方(相続登記が先です。2024年4月から申請が義務になっています)

なお、上に当てはまる方でも、ご相談いただくこと自体は構いません。手間のかかる事情のある案件こそ、順番を整理するところからお手伝いできます。

よくある失敗

50代・60代の住み替えで、よく起きる3つの失敗

1.先に新居を決めてしまった — 売却を急ぐことになり、結果として安く売ることに。順番を守ってください

2.返済額だけで比べた — 管理費・修繕積立金・駐車場代を足したら、住居費はほとんど変わらなかった

3.税の特例を確かめずに動いた — 住宅ローン控除と3,000万円の特別控除は併用できません。先に試算が必要です

次に確かめること

まず、住宅ローンの返済予定表を出して、今の残債を確かめてください。 手元になければ、金融機関に残高証明を依頼できます。

そのうえで、今の住居費(返済額・固定資産税・保険・修繕の積み立て)を1枚に書き出してください。移った後の住居費と並べて比べるための、出発点になります。

💡 FP細井のワンポイント本音アドバイス

当社は町田で不動産の仕事を20年以上、宅地建物取引士とAFPの両方の立場でご相談を受けてきました。売ることだけ、買うことだけではなく、退職後の家計まで含めて一緒に考えることができます。

よくある質問

Q. 売り先行で進めて、家が売れなかったらどうなりますか?

A. 売れないまま新居の契約を進めることになると、資金計画が崩れます。これを避けるため、売却活動の期間と、価格を見直す時期をあらかじめ決めておくことをおすすめします。また、売買契約に「買い替え特約」を付けて、今の家が売れなかった場合に新居の契約を解除できるようにする方法もあります。適用できるかは相手方との交渉になりますので、不動産会社にご相談ください。

Q. 年金を受給していても、住宅ローンは借りられますか?

A. 借りられる場合があります。ただし、借入期間は完済時の年齢で制限されます。【フラット35】のご利用条件(2026年4月1日現在)では、借入期間は15年以上で、かつ「80歳−申込時の年齢」または35年のいずれか短い年数、申込本人が満60歳以上の場合は10年以上とされています。返済額は年金収入で無理なく払える範囲に収まるかどうかが鍵になります。金融機関ごとに条件が異なりますので、複数を比べてください。

Q. リースバックとの違いは何ですか?

A. リースバックは、自宅を売却したうえで、そのまま賃料を払って住み続ける方法です。引っ越しが不要な一方、毎月の賃料が発生し、売却価格は相場より低くなる傾向があります。似た仕組みにリバースモーゲージがあり、こちらは自宅を担保にお金を借り、亡くなったときなどに自宅を処分して返す形です。売るのか借りるのかが違いますので、混同しないでください。住み替えは住む場所が変わりますが、所有し続ける選択肢も、住居費を下げる選択肢も取れます。どちらが合うかは、住み続けたい理由と、老後資金の状況で変わります。向き不向きがはっきり分かれる方法ですので、比べてから決めてください。

Q. 住みながら売ることはできますか?

A. できます。実際、多くの方が住みながら売却活動をされています。内見の際に在宅が必要になる、片付けをしておく必要がある、といった手間はありますが、仮住まいの費用と引っ越し2回分を避けられます。生活感があると売りにくいのではと心配される方もいらっしゃいますが、丁寧に片付けていただければ問題になることは多くありません。

Q. いつ動くのがよいのでしょうか?

A. 「今が売り時です」と申し上げることはできません。将来の価格を断定できないからです。ただ、ご自身の事情から見た目安はあります。ひとつは借入期間の制約で、年齢が上がるほど組める年数は短くなります。もうひとつは体力で、片付けと引っ越しは想像より大きな作業です。価格の見通しではなく、ご自身の年齢と体力、そして家計が成立するかどうかで時期を考えてください。

まとめ|順番を守れば、住み替えは落ち着いて進められる

  1. 最初に決めるのは物件ではなく「売却の下限価格」。ここが決まっていれば、価格交渉でも判断できる
  2. 50代・60代は売り先行をおすすめすることが多い。手残りが確定してから買え、二重ローンを避けられる
  3. 手残りは「売却価格−ローン残債−諸費用」。残債は返済予定表か残高証明で正確に確かめる
  4. 借入期間は年齢で決まる。【フラット35】は「80歳−申込時の年齢」または35年の短いほう(2026年4月1日現在)
  5. 管理費・修繕積立金という新しい固定費が増える。返済額ではなく住居費の合計で比べる
  6. 3,000万円の特別控除と買換えの特例は併用不可。住宅ローン控除との関係もあるため、先に試算する

売却の下限価格から、一緒に決めませんか

「いくらで売れれば、この住み替えは成立するのか」。この1つが決まると、あとは落ち着いて進められます。町田で不動産の仕事を20年以上、相模原には40年以上暮らしてきました。宅地建物取引士とAFPの両方の立場で、売ることだけでなく、退職後の家計まで含めて、無理のない計画を一緒に作ります。「今は動かない」という結論になっても構いません。匿名でのご相談も承ります。

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